2020年は、新元号である令和最初のお正月を迎えた年にして、新型コロナウィルスと言う、世界的な大災害に見舞われた年でした。
「外出自粛」「三密の回避」「新たな生活様式」と言った様々な制度が打ち出される中、ビジネスマンの目を一際引いたのは、やはり何と言っても「テレワークの推進」でしょう。特にSEにとっては相性の良い制度であるため、緊急事態宣言の発令と共に、テレワークを体験した方も多いのではないでしょうか。
かく言う筆者もその中の一人なのですが、今回は、実際に筆者がテレワークを行った中で感じたメリット・デメリットについて、ご紹介していこうと思います。
実体験から見た、テレワークのメリット7選
感染症の流行対策になる
テレワークのメリットとして最も強く感じたのは、やはり何と言っても、事の発端になった新型コロナウィルスへの対策です。ちょうど筆者の家には妊婦がいたため、少し外に出るだけでも戦々恐々としていたものですが、テレワークが始まったことにより、そんな心配とは無縁のものとなりました。
今後もし転職することがあれば、是非テレワークの制度がある会社を選びたいと思うほど、有事の際に心強い制度です。
通勤時間の削減
続いて感じたメリットは、通勤時間の削減です。通勤には往復で2時間かかっていたのですが、それが全て自由時間に変わりました。一日の比率で言えば、1割近くも自分の時間が増えたのですから、その感激もひとしおです。また、満員電車に悩まされることもなくなり、毎日どれほど負担になっていたのかを実感することができました。
家事への参加
通勤時間の削減により、家事に参加できる時間も飛躍的に増えました。これまでは早くても帰宅するのが19;30頃だったのですが、テレワークが始まってからは、定時イコール即帰宅、と言っても過言ではないのです。
筆者の勤務時間は18:00まででしたので、この時間からであれば、ちょっと手の込んだ夕食を作る事だって可能でした。
育児における緊急対応
小さな子供がいる家庭でしばしば問題になるのが、「子供が病気の時、両親のどちらが仕事を休むのか」という争いです。立場の弱い一方が、泣く泣く犠牲を被ることになりがちですが、テレワーク下であれば問題ありません。
例え勤務中であっても、同僚に事情を話せば、一時的に離席するくらいのことは容易です。それさえできれば、子供を保育園に迎えに行くことも、病院に連れて行くことも難しくありませんよね。
昼休みの自由度が上がる
オフィスでの昼休みの時間の使い方と言えば、コンビニ弁当や食堂で昼食を済ませた後、読書や机に突っ伏しての昼寝など、できることは限られています。
しかし、昼休みを取る場所が自宅であれば、その自由度は飛躍的に上がります。ちょっと手の込んだ昼食を自ら作るもよし、ふらっと近くの本屋に出かけるもよし、布団を敷いて本格的に昼寝することだってできるんです。
家族との時間が増える
「コロナ離婚」などという言葉が現れたように、テレワークによって夫が一日中家にいることになり、家族と不仲になったという事例は良く聞く話です。
しかし、私の家庭では全くの逆でした。昼は妻の手料理を食べ、夜は私が夕飯を担当するなど、むしろ家族の時間が増えたことで、絆が深まったように感じました。
仕事の隙間でもヒマを感じることがない
オフィスで仕事をしていた際、意外と辛かったのが「仕事の隙間時間」です。例えばノルマの仕事が早めに終わった時や、数分かけて行うバッチ処理の時間など、SEの仕事はふとつぃた時に時間が空くことがあり、暇つぶしに苦労することもありました。
そんな状況でも、テレワーク下であれば楽に対応ができます。
ゆっくりコーヒーを入れたり、あるいは本を読んでいてもバレません。ただし、急な電話での呼び出しなどには対応できるよう、緊張感までは失わないようにするのがコツです。
実体験から見た、テレワークのデメリット5選
複雑な仕様の話をするのに向かない
テレワークにおけるコミュニケーションの方法はチャット、または電話による対話しか方法がありません。それに対して対面の場合は、手書きのメモを見せたり身振り手振りを交えるなど、他にも表現の方法がいくつもあります。
テレワークで複雑な仕様の説明をする際は、それなりのプレゼン能力がないと難しいかも知れませんね。
会社間のルール決めが面倒
筆者は客先常駐のSEとして勤務しているのですが、本社と勤務先の間に一つ元受けの会社を挟んでいます。この会社と勤務先の会社間でテレワークのルールを決めていたのですが、私のような立場の人に対し、「問題が発生した場合の責任」について、押し付け合いがあったようです。
ルール決めの問題に巻き込まれることも覚悟しておいた方が良いでしょう。
仕事環境を整える負担
テレワークはやろうと思ってすぐに出来るものではなく、それなりの準備が必要になるものです。使うパソコンは企業側から貸与されることがほとんどですが、VPNなどのツールをインストールしなければなりませんし、自宅にWiFi環境がなければその契約も必要になります。
中でも大変なのが、自宅内での作業場所の確保です。筆者の場合、折り畳みの机と椅子を購入し、物置部屋に置いて仕事をすることになりましたが、オフィスのデスクと比べると、とても快適という言葉からはかけ離れた座り心地です。
光熱費がかかる
自宅でパソコンを使う以上、それを動かす電力を使うのはもちろんですが、必要なのはそれだけではありません。照明や空調に使う電気代、飲料水やトイレなどにかかる水道代、自炊のためのガス代など、予想以上の光熱費がかかることになり、請求書が届いてから目を見張ることになるでしょう。
サボリの誘惑にかられる
早めに仕事が終わってしまった時や、納期に余裕がある時は、気を付けなければなりません。
オフィスであれば人の目があるため仕事をするしかありませんが、自宅ではそうした監視の目がありません。「少しくらいいいか……」と、マンガに手を伸ばしてしまいそうになることも多々あり、自制心が試されることになります。
デメリットよりも、メリットが多い
メリット・デメリットをそれぞれ見てみると、メリットは主にワークライフバランス面、デメリットは諸経費面での例が多く挙げられることが分かりました。
筆者のケースでは、メリットの方がより多く見つかりましたが、人によっては「人とのコミュニケーションが取れずストレスが溜まる」「ダラダラ残業しないために、自己管理能力が必要」などのデメリットも出てくるかも知れません。
今回はそんな一例のご紹介となりましたが、「もしもテレワークを行ったら?」という想像だけではたどり着けない視点をお伝え出来たのなら幸いです。