社内に必ず一人は、誰からも頼られているベテランSE、という方がいらっしゃいますよね。ですが、新入社員から見たらスーパーマンのような彼らも、かつては右も左も分からない新入社員でした。最初から何もかも出来たわけではなく、地道に経験を積んでいったのです。

そんなベテランSEになるためには、まずは何はともあれ、勉強しなければなりません。しかしプログラムにおいて、その最初の第一歩のハードルは非常に高く、何から手をつければ良いか分からない初心者の方は少なくないでしょう。

そのため多くの企業では、新人研修を行っています。講師は外部か呼ぶこともありますが、コストを抑えるために、先輩社員が任命されることがほとんどではないでしょうか。

しかし、「誰かを教育する」というのは非常に難しい任務です。どうすれば良いか分からず、中には途方に暮れてしまう人もいることでしょう。
そんな方々のために、新人研修ではどんなポイントに気をつけるべきか、8つの観点でピックアップしました。

 

精密なスケジュールを立てる

新人研修において最も重要なのは、全体のスケジュールを立てることです。

SEが覚えなければならないことは数多く、1、2ヶ月程度の期間で何もかも教え込むことは到底出来ません。何をどこまで教えるのか取捨選択し、どのような時間配分にするか考え、予定通りに進まなかったできにどうやって取り戻すかなど、予め決めておかなければならないことは山のようにあります。
まずは全体の予定を俯瞰できるよう、スケジュール作りから始めましょう。

 

個々人の理解度を把握し、要注意者をチェック

研修の目的は全ての社員を戦力として育て上げることですが、残念ながら、その能力は個人によって大きな差があることは事実です。優秀な人とそうでない人が混在する中、全員に等しく知識を身につけさせるには、どうしても講師側のケアが必要になります。

まずは個々の理解力を正しく把握し、それぞれに応じた指導をしていかなければなりません。時には優秀な社員に、遅れがちな人へのフォローをお願いするのも一つの手です。

また、注意しなければならないのは、受講態度についても同じです。目の届かないところでサボっていないか、居眠りでもしていないかなど、厳しくチェックしておくと良いでしょう。

 

なるべく多くの生徒に発言を促す

講師の経験が少ない方は、生徒へ一方的に解説し続けるやり方をしてしまいがちですが、こうした講義形式は好ましくありません。生徒は未経験の人たちばかりなのですから、机上の説明だけで理解するのは難しいでしょう。合間で演習問題を用意し、答えさせることが必要です。

ただし、問題を解かせる場合も、やり方には注意しなければなりません。「設問を出し、生徒が解き、答え合わせをする」というやり方は、一見何の問題もなさそうですが、気弱な生徒は質問もしないまま、理解できずにパニックになってしまっている可能性があるからです。

お勧めなのは、講義や問題の合間に生徒たちを指名し、問いかけることです。たとえば「どうすればこの問題を解決できると思う?」など尋ねるだけでも、自ら考える力を養うことができますし、講義への集中力も増しますので、生徒たちのスキルアップに繋げることが可能です。

 

事前に演習問題を自分で解いておく

用意した演習問題は、自作したもの・問題集から拝借したものを問わず、まずは自分で解いてみると良いでしょう。問題ミスがないか確認できるのはもちろん、もっと効率的な回答がないかなど、問題を解いてみなければ分からないポイントがいくつもあります。

また、自分で解いてみることで、どれくらいの時間がかかるかも分かります。研修スケジュールを考えるためにも必要になりますので、面倒臭がらず、真面目に取り組みましょう。

 

タイピングの速度を考慮する


授業を進めるに当たり、忘れてはいけないのが、新入社員たちのパソコンへの習熟度です。スマートフォンが普及したことにより、最近はパソコンを持っていない人も多く、当然タイピングができない人も珍しくありません。

そのため、研修スケジュールを立てる際は、生徒のタイピングのスピードを考慮する必要があります。実際に筆者が講師を務めた時も、「問題の解き方は分かるが、タイピングが遅く、回答が間に合わない」という人が何人もいました。

なるべく時間に余裕のあるスケジュールにしなければなりませんが、実際に講義を始めてみなければ、どの程度のスピードが適切かは分かりません。少しずつ様子を見つつ、臨機応変に調整していきましょう。

 

丁寧な応対を心がける

生徒にとって講師とは、教えを請う存在であり、職場の先輩であり、絶対的に上位の立場であることは間違いありません。

ですがだからと言って、講師側が横柄な態度を取って良いかと言えば、答えはノーです。例え出来の悪い生徒がいたとしても、教える際取イライラしてしまうような態度はとってはいけません。相手は将来成長し、自分を助けてくれる存在になるかもしれないのですから、丁寧な、誠意ある応対をするよう心がけることが大切です。

 

研修内容のフィードバック

社員が講師を務める場合、何人かで分担して教えていくケースがほとんどです。そのため授業進度の報告は非常に重要で、毎日「何を教えたか」「予定通り進まなかった点はないか」「予定になかったが追加で講義した内容はないか」など、随時連係しておく必要があります。

特に大切なのは、個人ごとの理解度や受講態度、得意・不得意など、生徒と面と向かってみなければ分からない、いわゆる「生の情報」です。
生徒一人一人に対し、どのような点に気をつけておくべきかを連係しておけば、その後の研修もスムーズに進められるようになるでしょう。

 

授業内容は講師もメモとして書いておく

講義をする際は、生徒たちに向けて発信するだけではなく、自分が話した内容についてもメモしておくことをお勧めします。

こうすることで授業内容の教え忘れを防ぐことができ、また、日々の日報や、他の教師たちへの報告書を書く際にも参考にすることができます。
またその他にも、作成したメモは後日生徒たちに配布してあげることで、講義内容の聞き逃しを防いだり、欠席者へのフォロー資料としても役立ちます。

 

新人の未来を担っているという自覚をする

ここまでご紹介した内容は、あくまでどんな状況でも言える、一般的な注意点です。実際には講義の参加人数や、オンラインなのか否かなど、講義の規模や方法によって、まだまだ考えなければならないポイントはいくつもあります。

新人研修は、次代の戦力を育てる機会として、非常に重要な場です。やり残しがないよう入念に準備し、頼りがいのある講師となって臨みましょう。

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