基本情報技術者資格を取得することで、社内での評価が上がる、給与に手当が付く、といったメリットがありますが、これは会社によります。では会社で評価されないからといって資格の取得価値がないのかと言うとそうではありません。
基本情報技術者試験を取得することで、転職に有利になることがあります。そこで、どの程度有利になるのかを解説していきます。
SIerなら有利
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基本情報技術者試験が転職に有利かどうかですが、SIerに転職する場合多少有利になります。なぜSIerで有利になるかというと、それにはいくつか理由があります。具体的には、ある程度のITスキルの証明になる、客先に派遣する際の単価が高くなる、といった理由です。
ITスキルについてはそのままの意味なのですが、客先に派遣する際の単価が高くなることも知っておくと良いでしょう。SIerでは社員を客先に派遣することで客先から単価をもらっていますが、有資格者だと単価が高くなります。
SIerでは資格手当が付く場合が多いですが、それは客先単価が上がった分の一部を社員に還元しているイメージです。資格の有無が必ずしもスキルに直結するわけではないのですが、SIerでは顧客が一人一人のスキルを把握するのが難しいため、資格の有無に応じて単価を設定しています。
社員にも還元されるので、資格取得が好きなエンジニアにとってSIerはメリットがあります。
Web業界ではそこまで有利にはならない
ITベンチャー企業やWeb業界と呼ばれるような企業では、あまり資格を重要視しない傾向にあります。理由としては、とにかく実績主義で、最新技術をキャッチアップしているかどうか、開発の即戦力になるかどうか、といったことを採用の基準にしているからです。
基本情報技術者試験の内容はITの基礎スキルには役立ちますが、開発に即直結するかと言えばそうでもありません。プログラミングに関連する問題だと簡単なプログラムのトレース問題やSQL文がありますが、開発に使えるようなレベルではありません。
Web業界では客先に常駐するわけではない分資格を持っているからと言って会社の利益につながるわけでもなく、会社の利益につながるのはあくまでも開発力です。基本情報技術者試験を受けるよりも、何かアプリを作って持って行った方が評価につながる可能性は高いでしょう。
社内SEは会社によりけり
SIerやWeb業界でも同じことが言えるのですが、社内SEの場合特に資格を重要視するかどうかは企業によりけりです。社内SEも客先に派遣されるわけではないので資格の有無が直接的に企業の利益につながるわけではありません。
しかし社内SEで求められる技術レベルはそこまで高くはないため、基本情報技術者試験レベルの知識でも業務に役立つ可能性があるからです。資格を持っているから給与がアップするということはあまりないかと思いますが、アピール材料になる可能性はあります。
IT営業職だと有利になる可能性が高い
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意外と見過ごされがちですが、IT営業職だと基本情報技術者資格の有無が採用に関係する可能性が高いです。エンジニアだとある意味資格の勉強をしたり資格を持っているのが普通と捉えられるのですが、営業職の場合資格を持っていない人が多いです。
営業職でもまったく業務に無関係な資格だと評価されませんが、基本情報技術者試験はIT知識の基本を測るものです。営業職の人はエンジニアやクライアントと技術的な会話をすることがありますが、基本情報技術者試験レベルの知識であってもそれがあることで仕事が円滑になります。
営業職にとってはプログラミングスキル同様ITに関する幅広い知識が役立つので、資格取得を志すのはありです。個人でアプリ開発して持参するようなことをしても、採用担当者は「なぜエンジニア志望ではないのか」と疑問を持つので、営業職にとっては開発よりもむしろ資格取得の方が役立つかもしれません。
ただし営業職にとって重要なのはあくまでもコミュニケーション能力や事務処理能力なので、その意味では資格の有無は補助的なものです。
基本情報技術者資格は万能ではない
どの業界にも言えることですが、基本情報技術者資格は万能ではありませんが、基本情報技術者資格だけでなく、その他の資格も同様です。たとえ単価に直接的に影響するSIerであっても、資格だけで業務能力が低いと仕事になりません。
実際スペシャリスト資格を保有しているが業務能力が明らかに低い、プログラミングや設計がまったくできない、といったケースは多々あります。業務に集中せずに資格手当のための資格取得にばかり力を入れた結果なのですが、そういった方向性で資格を取得するメリットは小さいと言えるでしょう。
資格手当が付くと言っても月に数万円程度で、転職についても技術力が高い方が圧倒的に有利です。資格手当のための勉強するのは良いのですが、それはあくまでも業務能力が伴っている前提です。
プログラミングスキル等仕事に役立つスキルを磨いている前提でさらに資格を取得するのは良いのですが、そうでない場合先に仕事に役立つスキルを磨いた方が良いでしょう。その方が転職にも成功しやすく、収入も上がりやすいです。
技術力を磨けば収入を劇的に増やすことも可能で、会社員以外のフリーランスや起業といった選択肢もあります。資格取得はたしかに役立つ可能性があるのですが、そこだけに注目するのではなく、ぜひプログラミングスキルやその他のスキルにも目を向けたうえで資格取得を検討してください。