IT業界はブラック企業が多いと言われますが、これは事実かと思います。
もちろんIT業界のなかにもホワイト企業はありますし、IT業界以外にもブラック企業はたくさんあります。しかし、割合的にIT企業にブラック企業が多いのは事実でしょう。
言い換えれば、二極化しているとも言えます。私自身SIerのエンジニアとして開発現場に常駐したりフリーランスとして案件受注した経験がありますが、給与相場や残業代についてもかなりまちまちでした。
つまり、同じプロジェクト内でもブラック企業に在籍しているSEとホワイト企業に在籍しているSEが存在し、もらっている給料や残業に関する規定が大きく異なるのです。同じような業務をするのであれば、ホワイト企業に在籍した方が良いでしょう。
そこで今回は、IT業界でホワイト企業を見分ける方法について解説します。
ホワイト企業の条件を列挙
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まずは、ホワイト企業の条件を箇条書きで挙げていきます。そのなかでも特に重要な項目については後ほど詳しく解説します。
ホワイト企業の条件
- 離職率が低い
- 有休消化率が高い
- 平均年収が高い
- 社員の年齢が若すぎない
- 残業時間が少ない
- 福利厚生が充実している
- 抱えているプロジェクト、スキルが明確
- 上流工程にも携わっている
- 自社でプロジェクトを持っている
ホワイト企業の条件は上記のようになります。この他にも研修制度や経費管理等の条件もありますが、研修制度が充実していてもブラックな企業はあります。上記項目がホワイト企業を判別するのにわかりやすい項目です。
上記項目のなかでも、最後の三つ以外は業界問わず当てはまる条件です。最後の三つについては、IT業界特有の条件と言えるでしょう。
どの業界に当てはまるホワイト企業の条件
まずは上の七項目についてですが、どれも基本事項にはなります。
まず離職率についてですが、ホワイト企業であればあるほど当然離職率は低くなります。ホワイト企業でも独立へのバックアップが充実していて、その結果離職率が高くなっている、という可能性もゼロではありません。
しかし、現状の日本において独立を志す人はまだ少数派で、少なくとも労働環境に不満があって離職する人の人数とは比べ物にならないでしょう。さらに、ホワイト企業であればあるほど独立の意欲も薄れる可能性が高いです。
ブラック企業に在籍している人は独立して人生を変えたいと考えますが、ホワイト企業に在籍している人はあまりそうは思わないでしょう。つまり、独立志向の強い人が集まるホワイト企業というものは伝説上の存在と言っても過言ではないのです。
独立志向の強い人が集まるベンチャー企業なら存在しますが、それがホワイト企業かどうかは微妙です。次に、有給消化率についてもホワイト企業ほど数値が高くなります。ブラック企業は離職者が多いため慢性的に人手不足になります。
そうすると、残った社員に有休を取らせずに働かせます。平均年収についてはホワイト企業、ブラック企業の定義にもよるのですが、一般的にブラック企業は労働と報酬のバランスが釣り合っていません。
つまり、たとえ労働環境が過酷であっても、それに見合った報酬が得られていればそれはホワイト企業という見方も可能なのです。また、労働以上の報酬がもらえるのであればそれに越したことはないでしょう。
年収が高ければ高いほど、その他の条件が厳しくてもホワイト企業寄りになります。社員の年齢は離職率とも関係しますが、平均年齢が若いということはそれだけ長く勤めている社員がいないということです。
また日の浅いベンチャー企業であっても、ブラック企業ほどまだあまり判断の付かない若者を囲い込む傾向にあります。
なぜなら、ベテランでスキルの高い人ほどブラック企業とホワイト企業の判断もできるからです。
極端な言い方をすれば、無知な若者を囲い込んでこき使っているような状態です。
ビジネスのやり方も必然的に単価の低い案件をひたすらこなすような形式になりがちなため、社員は給料が少ないまま疲弊していきます。
残業時間については世間でも注目されているため言うまでもないでしょう。
また残業代が全額支払われない企業は高確率でブラックです。たとえば残業代30時間まで、といった規定がある企業は多少ブラック要素があります。
ただしSEの場合裁量労働制を取り入れている場合もあるため、その場合は例外です。
裁量労働制については判断が難しいのですが、基本給をベースに判断すると良いでしょう。基本給が低いにも関わらず裁量労働制を取り入れている企業は、単に安くこき使うことしか考えていません。
一方で、基本給が高くてエンジニアの質も高い企業の場合、エンジニアの労働を自由化するために裁量労働制を取り入れています。
つまり、給与の高い企業の裁量労働制はOKですが、給与が低いのに裁量労働制を取り入れている企業は制度を悪用しているだけなので、ブラック企業です。
福利厚生については、住宅手当、通勤手当、家族手当、医療手当、などを指しています。
特に通勤手当については全額支給される企業を選んだ方が良いでしょう。近いから通勤手当はそんなにいらない、という人もいるかもしれませんが、そういうことではなくてそういった細かい費用負担をケチる企業は危険だということです。
ただし、福利厚生についても基本給が明らかに高い企業は例外です。そういった企業は他の企業の何倍も報酬を支払う代わりに、そのなかですべてカバーしてください、という意図があります。
IT企業特有の条件
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次に、IT企業特有のホワイト企業を見分ける条件について解説します。上でも挙げましたが、以下の三点になります。
・抱えているプロジェクト、スキルが明確
・上流工程にも携わっている
・自社でプロジェクトを持っている
まずその企業持っているプロジェクトや、そこで使用するスキルが明確になっているかどうかは重要です。なぜなら、ブラック企業ほどこれらを隠す傾向にあるからです。特に大規模案件のテスト工程ばかり担当しているようなIT企業は避けた方が良いでしょう。
収入が低くて労働時間は長いのに、スキルも身に付かない、といった最悪な状況に陥る可能性があります。同様に、上流工程に携わっているかどうかも重要です。上流工程に携わっている企業はそれだけプロジェクト内で力を持っているため、待遇が悪くなることが少ないです。
逆に各プロジェクトで下流工程ばかり担当している企業は、プロジェクトのしわ寄せを受けやすい傾向にあります。たとえば誰かが夜中に残って作業しなければならないようなことがありますが、その際下請け企業の社員には真っ先に白羽の矢が立ちます。
自分自身が下流工程を希望していても、会社自体は上流工程も担当している会社を選んだ方が働きやすいでしょう。つまりホワイト企業の確率が高いです。最後に、これは特にWeb系企業の話ですが、自社でプロジェクトを持っている企業はホワイト企業である確率が高いです。
逆に言えば、自社でプロジェクトを持たずにプロジェクトに派遣するだけの会社は、人を売って収益を得ることしか考えていません。つまり会社で何か試行錯誤したりリスクを負ってシステム開発にトライすることがないため、ひたすら社員を売ってプロジェクトでこき使ってもらってそのお金を会社にプールしていくイメージです。
それでも配属されるプロジェクトによっては労働環境が良いかもしれませんが、社員にとって会社は案件を紹介して仲介料を取るだけの存在です。またそういった企業に限って社員に還元せずに仲介料を多く取るので、ブラック企業の要素が多いです。
今回紹介したような一般的な基準と、IT企業特有の基準を押さえた上で各企業の状況をリサーチすると、ホワイト企業を選べる可能性が高くなります。どの業界にも当てはまる基準ばかり見ている人もいますが、IT業界で企業を選ぶ際にはIT業界特有の基準がかなり重要です。
会社選びを誤ると労働環境が悪いだけでなく自分自身のスキルが育ちにくくなるため、将来的に悪影響です。ぜひホワイトな環境でスキルアップしてください。