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ブラックと言われることの多いIT業界ですが、なぜブラックと言われるのでしょうか?それには、いくつかの理由があります。このページでは、元SEがIT業界がブラックと言われる理由や、実態について紹介していきます。
ブラックと言われる理由
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まずは、IT業界がブラックと言われる理由について挙げていきます。
・みなし残業が多い。
・労働時間が長い。
・フォロー体制が薄い。
・人の入れ替わりが激しい。
・給料が低い。
・多重請負が普通に行われている。
他にもいろいろあるかもしれませんが、世間のイメージとしてはこういったブラックポイントが挙げられます。それでは、それぞれについて解説していきます。
まずみなし残業に関してですが、これは企業によります。真のブラック企業になるとそもそも残業代が支給されないかもしれませんが、多くのIT企業では残業代自体は支給されます。
ただし、上限付きの企業が多いのは事実です。たとえば、上限を30時間と設定しており、それを超えると残業代が支給されないということです。こういった企業は非常に多いです。IT業界は人によって生産性が大きく異なるので、すべて残業代を支給すると会社経営が厳しくなるのは事実です。
そのため、みなし残業にしている企業すべてがブラックとは言えませんが、これからIT業界を志望される方はみなし残業が多いことについて知っておいた方が良いでしょう。次に労働時間に関しては、これも会社やプロジェクトによります。
プロジェクトによって忙しさに波があり、また会社によってどのようなプロジェクトを請け負っているかが異なります。現場によっては体制が整っていなかったり、システムの仕様変更が積み重なって結果的に労働時間が増えてしまうこともあります。
家に帰れないほど忙しいことは稀ですが、平均的にIT業界の労働時間が長いことは事実です。ただし、上述の通りエンジニアによって生産性が大きく異なり、スキルの高いエンジニアは早めに仕事を済ませて帰宅していることもあります。
平均的に労働時間は長いですが、そうでないエンジニアも多いということです。フォロー体制に関しては、会社によります。教育担当が足りていなかったり、研修制度が充実していない会社だと右も左もわからずいきなり現場に放り込まれますが、きちんと教育を行っている会社も多いです。
なので、一概にフォロー体制が薄いとは言えません。人の入れ替わりの激しさに関しては、概ね事実です。IT業界は人の入れ替わりが激しいです。よくIT業界はブラックだから人の入れ替わりが激しいと言われますが、これは半分正解で半分不正解といった印象です。これについては、詳しくは後述します。
給料に関しては、低いのではなく「格差が大きい」です。これについても詳細は後述します。
最後に多重請負に関してですが、これも少し法律の話が出てきて複雑なので、後ほど詳しく説明します。
なぜ人の入れ替わりが激しいの?
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上述の通りIT業界は人の入れ替わりが激しいです。これを聞くと、「やっぱりIT業界はブラックなの?」と思われるかもしれません。たしかに労働環境が過酷なあまり離職していく人がいるのも事実です。
しかし、内部の実態としては、「ミスマッチ」による離職が多い状況です。IT業界は慢性的な人手不足が続いているため、間口が広いです。つまり、未経験者でも積極的に採用して教育していく意思があるのです。
IT未経験でも入社できる会社は多いのですが、残念ながらすべての人がプログラマーやエンジニアに向いているわけではありません。特にパソコンに向かって黙々とプログラミングを行うプログラマーの仕事は、人によっては大きな苦痛を感じます。
せっかくやる気を持ってIT業界に入ったものの、プログラミングがどうしても合わずに辞めてしまう事例はかなり多いのです。また、意外とコミュニケーション能力も重要です。黙々とパソコンに向かって作業したいからプログラマーになったのに、チームメンバーや顧客とのコミュニケーションが多く、苦痛になって辞めてしまうケースもあるでしょう。
つまり、IT業界の仕事は合う人と合わない人がいるので、「事前に業界研究をよく行い、また、できればプログラミングをやってみてから入社した方が良い」ということです。
IT業界の給料は安いの?高いの?
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IT業界はブラックだから給料が安い、IT業界はビッグチャンスがある、といったことをよく耳にします。一見矛盾しているようにも聞こえるので、結局どっちなの?と思われている方も多いのではないでしょうか。
結論としては、どちらも正解です。後ほど詳しく説明しますが、業務系の客先常駐エンジニアの給料は平均して安い傾向にあります。業務系のシステム開発は大部分がマニュアル化されており、替えが利くからです。
一方で、web系で起業してビッグマネーをつかむエンジニアが多いのも事実です。たとえば、スマホアプリを自分で制作してヒットさせた、斬新なウェブサービスを開発して権利収入をゲットした、といった話も多いです。
つまり、IT業界の平均収入はそれほど高いものではありませんが、スキルを身に付けてそれをうまく活用すれば、お金持ちになれるチャンスがある、ということです。すでにスキルが高い方は自分でシステム開発を行う、人気のweb企業に就職する、といった選択が可能です。
しかし、スキルが低いとなかなか難しいので、まずは比較的間口の広い業務系システム開発のエンジニアとして就職し、そこでスキルを身に付け、そこからスキルを活かしてweb系に転職する、起業する、個人事業主になる、といった選択もできます。
働き方が自由なのもIT業界の大きなメリットですね。
多重請負が普通に行われている
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多重請負はIT業界の大きな問題ではないでしょうか。IT業界では請負契約と言って、システム開発を行っている企業が他の企業に依頼してエンジニアを派遣してもらう契約が結ばれることが多いです。
開発を主導している企業が他の企業と請負契約を結ぶのなら問題ないのですが、実際は請負契約を結んだ企業がさらに別の企業と請負契約を結ぶ多重請負が常態化しているのです。たとえば、A社がシステム開発の発案を行って、それをB社に請け負ってもらう、さらにB社がC社へ、さらにC社がD社へ、といったことが起こっています。図にすると以下のようになります。
A社(元請け)→B社(下請け)→C社(さらに下請け)→D(もっと下請け)
このような多重請負、またの名を多重派遣が行われています。しかし、この多重請負は実は法律で禁じられています。IT業界はグレーゾーンと謳っていますが(グレーゾーンでも本当はダメ)、明確に違法です。
一応は暗黙の了解的に多重請負は黙認されていますが、違法ということは知っておいた方が良いでしょう。ブラック企業と言われるIT企業の多くは、この多重請負のなかの下の方に位置する企業です。
そのため、業務系システム開発をしているIT企業に就職する場合、主に請け負い契約の中のどのランクにいるのか調べてから就職した方が良いです。A社、B社は良いですが、D社のようにいろいろな現場で最下層部の下請けを行っている企業はいろいろと問題があるケースがあります。
残業代が支払われなかったり労働時間が長くなりがち、しかも給料が安い、といった状況なのはD社なので、はっきり言って就職しない方が無難です。もしもD社のような会社に在籍してしまったら、元請け企業に転職を狙うか、スキルアップしてweb系企業に転職するのが良いでしょう。
個人で開発、もしくは受注開発できる自信があれば、独立してしまうのもありです。とは言ってもD社に就職するのが一様に悪なわけではありません。D社で業務に忙殺されていれば自ずとある程度のシステム開発スキルが身に付くので、そのスキルは将来的に役立つ可能性が高いでしょう。
武者修行としてD社に就職するのはありです。
まとめ
元SEがIT業界に関する本音を紹介しました。たしかに違法な労働環境(多重請負の時点で前提が違法)な部分がありますが、自身がスキルアップを行えば働き方の自由度が高いです。
会社員として収入増を狙うだけでなく、個人事業主、起業家、といった夢のある働き方も実現可能です。最近流行りのノマドワーカーや在宅ワーカーへも移行しやすい業界なので、何かしら目標を持って参入するのであればおすすめの業界です。
たとえば、今は大変だけどITが好きだからスキルアップを目指す、今は我慢して会社員をやっているけれど、スキルアップして自由なノマドワーカーになる、といった目標があれば、現状厳しめの労働環境であっても頑張れるかもしれません。