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SIerを大きく分けると独立系、メーカー系、ユーザー系がありますが、それぞれ一長一短です。
まず独立系は親会社が存在しないため案件選択の自由度が高く、ジャンル問わずいろいろな案件を抱えている企業が多いです。
そのため、スキルの幅を広げるには独立系SIerが良いでしょう。
しかし、一方で親会社がいない分不安定、案件が途切れると収入も途絶えるため極力人件費をカットしている、といったデメリットもあります。
つまり、独立系SIerは平均的に見て年収が低いです。スキルアップをして独立等狙うのであれば良いですが、長く務める企業としては不向きな傾向にあります。
次にメーカー系は母体がシステム開発会社です。
大手企業の傘下にあるため案件が安定しており、年収も比較的高めです。
しかしグループ会社のなかでも企業ごとに案件の分担が明確化している、親会社の影響を受ける、といったデメリットもあります。
最後にユーザー系ですが、親会社が大手金融機関や物流会社になるため、業績が安定しています。つまり年収的にも好待遇になります。
ただし、案件に偏りがあるというデメリットもあります。
メーカー系SIerに比べても当然案件の幅は狭く、基本的に親会社で必要なシステムを構築するために存在します。たとえば親会社が銀行であれば、金融系システムばかり作ることになります。それでも興味のある分野を選択すれば、逆に大きなメリットとなるでしょう。
ユーザー系SEのメリットとは
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冒頭で独立系、メーカー系、ユーザー系SIerのそれぞれのメリット、デメリットを紹介しましたが、ユーザー系SIerのメリットをさらに深掘りしていきます。
メリットを詳しく知ることで、転職するために必要なものが見えてきて、モチベーションアップにもつながるでしょう。
具体的なユーザー系SIerのメリットは以下のようになります。
- 平均年収が高い
- IT技術だけでなく専門的な業務知識を身に付けることができる
- 管理職を目指しやすい
- 技術職以外の人たちとの交流が多い
- 間接部門なのでプレッシャーが少ない
どれも深く説明しなくてもわかりやすいものではありますが、ユーザー系SEはシステムを作って売るわけではありません。あくまでも社内で使用するシステムを開発するのが仕事なので、営業や外部からのプレッシャーは比較的少ないでしょう。
ただし、安定稼働が絶対条件になるため、インフラエンジニアに近いプレッシャーはあります。またIT技術よりも業務知識や他部門との連携が重要になるため、年次を重ねるにつれて管理職になりやすいです。
独立系SIerやメーカー系SIerでは技術志向のSEも多いですが、ユーザー系SEは社内での出世を考えている人が多いでしょう。つまり、マネジメントスキルや業務知識を身に付けるのがユーザー系SEに転職するための近道です。
ユーザー系SIerに転職するためのノウハウ
ユーザー系SIerは、他の二つに比べると上記の通り業務知識やマネジメントスキルを重要視します。もちろん開発に携わる以上基本的なITスキルは求められますが、最新技術に詳しくなければならない、ECサイトの開発経験がある、個人でアプリをリリースしている、といったレベルのスキルは求められていません。
むしろそこまで技術志向が強いと、「なぜユーザー系SEを目指しているのか」と疑問を持たれる可能性が高いです。どちらかというと、前職でマネジメントや類似する業務経験があると望ましいです。
たとえば金融系のユーザー系SIerを目指すのであれば、金融システムの開発経験があった方が良いです。もっと言えば、なるべく上流工程の経験があった方が良いでしょう。プロジェクトマネージャーや要件定義の経験があれば重宝されるはずです。
現状どのような案件に携わっていて今後どのようなユーザー系SIerを目指すかは人それぞれですが、なるべくなら現状の業務に関連するユーザー系SIerを目指すと良いでしょう。
逆に言えば、たとえば独立系SIerで建設系のシステム開発に携わっていた人が金融系のユーザー系SIerを受けるにはそれなりの理由が必要です。
開発言語などが一致していても、なぜ金融系なのか、ということは必ず聞かれます。関連しない業務分野のユーザー系SIerを受けることも可能ですが、その場合質問される要素が増えるので、回答の準備とある程度業務知識の勉強はしておいた方が良いです。
というのも、少し状況は異なるのですが私自身準大手メーカー系SIerで金融システムを開発していたのですが、そこから転職のために異業種の社内SEの募集に応募したことがありました。
社内SEとユーザー系SEでは状況が異なるのですが、自社システムに関連する業務知識に詳しくなければならないという点では同じでしょう。
当時の私はそこまでどの業界にどのようなスキル、知識が求められるのかを把握していなかったため、社内SEならある程度の技術力とコミュニケーション能力があれば問題ないだろう、と考えていました。
しかし、結果的には面接で業務知識を問う質問を多数投げかけられ、答えられずにあたふたして面接は終了しました。当然面接には落ちたのですが、そこで社内システムを作る部門では業務知識を重要視していることがよくわかりました。
こういったことがあるため、社内システムに携わるSEを目指すのであれば、その業界についての業務知識を身に付け、また面接ではそこに対して興味関心を持っている、というアピールが必要不可欠です。
私の場合、質問に答えられないのでなんとか技術分野の話にすり替えようと試行錯誤しましたが、そのような小細工は通用しません。ぜひなるべく早めにマネジメント経験を積み、業務知識も勉強した上でユーザー系SEを目指してください。