皆さんは、「ワーキンググループ」というものをご存知でしょうか。特定の問題の調査や研究のために設けられるチームで、企業より社員それぞれが中心となって運営する、昔風に言うなら「勉強会」のようなものです。
似たような用語に「タスクフォース」というものがあり、ほぼ同義として扱われることが多いのですが、こちらは「企業にとって緊急性の高い問題を解決するチーム」という意味合いで使われる傾向があるようです(この辺りの用語の違いはあいまいで、インターネットで検索すると様々な解釈があります)。
各部署から有志のメンバーが集まるため、縦割りの組織から抜け出て何かをしたい、という向上心に溢れた人にはぴったりの取り組みと言えるでしょう。
ワーキンググループは参加するだけでも大変意義のある活動ですので、その活用法と具体例についてご紹介していきたいと思います。
ワーキンググループとはどういうもの?
ワーキンググループと言う単語が耳慣れない方は、「個人で勉強するのと何が違うのか?」と思うかも知れません。確かに勉強は究極的には一人で積み重ねていくものですし、誰かと足並みを揃えても意味がない、ただ面倒なだけ、と思われる方もいらっしゃることでしょう。
ですが、集団で勉強することに対するメリットも間違いなくありますので、いくつかの観点からにご紹介します。
メンバー同士で協力し、情報交換出来る
通常の仕事とは違い、ワーキンググループは部署や派閥を越え、普段関わることのないメンバーと共通の目的に取り組みます。個々にとって特に興味のある分野を調査・研究しているわけですから、これほど効率的に研究を進められる方法はありません。自分を高めたい人には持ってこいの集まりです。
勉強に対するモチベーションを維持出来る
自分のスキルアップのためだと分かっていても、ずっと勉強し続けることはなかなか大変ですよね。まして通常業務の合間に勉強するわけですから、ついサボりたくなってしまうのも仕方ないことです。
ですが、ワーキンググループを通して一緒に勉強する仲間がいたら、どうでしょうか。辛く困難な勉強であっても、仲間がいると思えば、モチベーションを維持することも難しくないはずです。
社内評価が上がる
勉強や研究と言うものは知識を積み重ねることであり、外から具体的な形で見ることは出来ません。資格取得でもすれば別ですが、それ以外の方法で成果を評価してもらうのは、なかなか難しいことなのです。
そこでオススメなのが、ワーキンググループへの参加です。表立って「勉強している」ことを内外にアピール出来ますので、上司からの覚えも良くなり、難しい仕事を任せてもらえるようになるでしょう。
具体的にどんなワーキンググループがある?
ワーキンググループについて解説したところで、次はその実例についてご紹介しましょう。一般的なテーマで運営しているテンプレート的なグループと、筆者の会社で実際に運営されているグループについて挙げていきますので、是非参考にしてみてください。
技術研究WG
個人個人の弱点を克服する勉強よりも、新たに登場した技術や、マイナーな言語を習得しよう、というテーマで運営されるワーキンググループです。自分一人では辿り着くことも出来なかったであろう技術に触れることが出来るため、特に向上心に溢れた方にオススメです。
常に最新技術に対してアンテナを張っている必要があるため、技術誌を読んだりニュースをチェックしたりと日々の負担は大きめですが、その分、他のグループでは得られないやりがいを味わうことが出来ます。
資格取得WG
会社やユーザーに対するアピールとして、最も一般的なのは資格の取得です。自分はこれだけ知識があるんだ!というセールスポイントになるので、資格を取れば取るほど上司の覚えも良くなることでしょう。
ですが、資格の取得には膨大な勉強時間が必要です。日々の業務の合間に勉強するのは負担が大きく、心が折れてしまう方も少なくありません。
そこで活躍するのが、この資格取得ワーキンググループです。同じ目標に向かう仲間を作ることで、教え合い、励まし合うことが出来れば、きっと勉強のモチベーションを維持することも出来るでしょう。
セキュリティ推進WG
技術の進歩は、プログラミングに関することばかりではありません。現代社会では「情報」の価値が非常に高く、漏えいしたり紛失したりしてしまうと、大損害に繋がることも十分に考えられます。そのためセキュリティに関する技術もどんどん進歩しており、毎日のように技術革新が起きているのです。
セキュリティ推進ワーキンググループでは、そうしたインシデントを防ぐことを目的として活動します。最新のセキュリティ技術取得の他にも、注意喚起を促すメルマガを作るなどの活動をすると良いでしょう。
新人研修WG
毎年企業には新たな社員が入社してきますが、彼らが即戦力となることはほとんどありません。そのため新人研修は企業にとって絶対必須のイベントになりますが、よほどの大企業でもない限り、毎回外部から講師を呼ぶのはコスト的に難しいでしょう。
そこで、新人研修をワーキンググループに落とし込む、という方法があります。一見、運営側には何のメリットもないように思われるかもしれませんが、そんなことはありません。入社直後の新人と交友を深めることが出来ますし、研修用の資料作りや講師の経験を通してプレゼン力を身に着けることが出来ます。
これは一人で勉強するだけでは絶対に得られない経験になりますので、特にオススメのワーキンググループです。
ワークライフバランスWG
最後に、筆者の企業で実際に運営されているワーキンググループをご紹介しましょう。ワークライフバランス・ワーキンググループというもので、より良い職場環境を整えるために作られました。
働き方改革の施行に合わせて立ち上げられたグループで、活動内容は社員の残業時間・有休消化の管理をするというものです。毎月一定の基準を越えて残業している社員、または有休消化率が低い社員とその上長に対し、アラートメールを飛ばして注意を促したり、ほかにも社内の福利厚生制度をメルマガにして配信したりしています。
様々な意味で自分を高め絶好の機会
以上のように、ワーキンググループでは、日々の業務では決して触れられないような経験・知識を得ることが出来ます。また、会社や上司に自分の成果をアピールする絶好の機会でので、上昇志向を持つ方であれば、それに参加しない理由は一つもありませんよね。
自分だけの世界で完結した勉強ばかりではなく、多くの方と触れ合いながら学んでいけるワーキンググループは、まるで学生時代の再現のようで、新鮮な気持ちになれることでしょう。
様々な意味で自分を高める絶好の機会ですので、スキルアップを目指す方は、是非とも参加してみてくださいね。