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SEのなかでも特にSIerに勤務するSEにとって重要なのは「ITスキル」と「業務知識」です。特に上流工程に行けば行くほど業務知識が重要になります。そして、業界のなかでも特に業務知識が重要になるのが金融業界や、会計業界で、理由としては業務処理が複雑で、なおかつミスが許されないからです。

もちろんたとえば物流や医療業界やアパレル業界も業務知識が重要でミスは許されませんが、システムの構造として比較的単純です。金融や会計の方が処理が細かく業務知識がより重要になります。

また金融や会計は数字を扱うことが多い分システムによって業務効率化しやすく、属人性をなるべく排除することも重要になります。属人性を排除して効率化することで収益が伸びる業界なので、SEとしても業務知識を身に付け、最大限効率化できるシステムを提案すると顧客満足度が上がります。

会計業界の業務知識として真っ先に挙げられるのは簿記なので、日商簿記の資格を持っていると役立ちます。

日商簿記3級の評価

上記の通り会計システムを扱う会社に転職するならSEが日商簿記を取得するメリットは大きいです。しかし、そこで日商簿記何級を取れば良いのか、という疑問が出てくるでしょう。

まず日商簿記のなかでも難易度が低く初心者向けの資格は日商簿記3級です。レベルとしては、簿記の知識がまったくない人が勉強しても1日数時間で1カ月程度勉強すれば取得できるレベルのもので、難易度は低いと言えます。

会計業界のシステムに携わる上では日商簿記3級レベルの知識があればかなり役立ちます。むしろ簡単に取得できて基礎知識が身に付くので、コストパフォーマンスは最高です。ただし、評価としては微妙なのが残念なところです。

たとえば会計事務所に要件定義に行って、「私は日商簿記3級を持っているので業務のこともある程度わかるかと思います。」と言ったとします。そうすると会計事務所の人は、「日商簿記3級でそこまで自信満々になられても困る。せめて2級くらいは取得しておいてほしい。」と思うでしょう。

3級の知識でも役立つのですが、印象的に中途半端です。IT系の資格で言うなれば、日商簿記3級はITパスポートと基本情報技術者の間くらいのレベルになります。さすがにITパスポートよりはましでも、基本情報技術者以下となると資格として微妙なことがわかるかと思います。

日商簿記2級の評価

日商簿記2級を取得していると、ある程度簿記の知識がある、という評価になります。正直なところ会計システムを開発する上で日商簿記2級レベルの知識はいらないかもしれませんが、たとえば会計事務所に行っても話せるレベルです。

難易度としては、IT資格で言うと基本情報技術者試験と同程度くらいかそれよりやや易しいくらいです。3級と大差ないわりには明らかに2級の方が評価が高いので、どうせ日商簿記を取得するなら2級を取得しておいた方が良いでしょう。

ちなみに数字に弱すぎて簿記の問題を見ると拒絶反応を起こす、考えて計算するような問題をまったく理解できない、といった方もなかにはいるようです。しかし、IT業界に携わる方はおそらくその心配はないかと思います。

会計ルールに当てはめて計算するよりもプログラムをトレースする方が難しい上に頭を使うので、簿記が理解できないことはないでしょう。仕訳項目やその使い方を覚えて、会計ルールを理解すればそれで合格できるので、会計システムに携わりたい方はぜひ日商簿記2級を取得することをおすすめします。

ちなみに、SEが嫌になって営業職や事務職に転職したいときにも日商簿記2級は役立ちます。簿記の知識は汎用性が高くいろいろな職種に関わってくるので、そういった意味でも取得するメリットがあります。

日商簿記1級の評価

日商簿記のなかで最上級に位置するのが日商簿記1級です。日商簿記1級は2級からレベルがグンと上がり、IT系の国家資格で言うと応用情報技術者よりも明らかに難しいです。スペシャリスト資格と同等か、それよりはやや易しいくらいのレベルになります。

単に会計システムに携わりたいという理由だけなら、日商簿記1級まで取得する必要はないかと思います。日商簿記1級を取得するのであれば、たとえば「会計業務に強いITコンサルタント」、など存分に資格を活かす方向で活動した方がメリットがあるでしょう。

少なくとも、会計システム担当のSEが取得するには勉強時間の掛かり過ぎる資格です。日商簿記1級を取得するのであれば、セキュリティスペシャリストなどのスペシャリスト資格を取得した方がSEにとってのメリットは大きそうです。

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