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SEにとって転職や年収アップに有利な資格はいろいろありますが、まず第一に挙げられるのはIT系の資格です。たとえば、基本情報技術者、応用情報技術者、セキュリティスペシャリスト、データベーススペシャリスト、といった国家資格は特にSIerではそれなりに評価につながります。

しかし、実はSEの転職に役立つ資格はIT系資格に限定されません。業務系SEにとって顧客の業務についての知識は非常に重要になるからです。今の時代どの業界もITを導入しているため、システムは必要不可欠です。

そのシステムを開発するのはSEの仕事ですが、そのSEがITの知識しか持っていないと、顧客の業務に合ったシステムは作れないのです。顧客は業務に合わせて取得したいデータや照合する消費者情報、データベースに蓄積したい内容、などを事細かに説明します。

また顧客はその業務のプロではあるもののITのプロではないため、SE側が業務とITをすり合わせてシステムを提案していく必要があります。このように、特に上流工程を担うSEにとって顧客の業務知識は必要不可欠というわけです。

そこでSEは顧客に対して自分が業務知識を有していることをアピールしたいわけですが、その際に役立つのが資格です。たとえば会計システムなら簿記の資格を持っているとアピールに有効で、実際提案や設計の際に役立ちます。

そこで今回は、SEが中小企業診断士を取得することでどのようなメリットがあるのか、転職にどのように有利なのか、といったことを解説していきます。

日本の99%以上は中小企業

日本の企業の99%以上は中小企業です。大企業の方が社員数が多いので労働人口の3割程度は大企業に所属していることになっていますが、実際はそのなかに下請け企業や契約、派遣社員の人も多く含まれます。

つまり、結局のところ日本の99%以上は中小企業で、なおかつ正社員として働く人に限定すれば少なくとも70%以上、おそらく80%以上の人は中小企業に在籍しているということです。

当然ながら大企業でも中小企業でもシステムの需要はあるため、SEが担当するシステムは大企業のものから中小企業のものまであります。中小企業診断士は中小企業の経営コンサルを行うための資格ですが、SEが中小企業診断士を取得していることで、経営とITを組み合わせた提案ができることになります。

理論上、中小企業診断士を取得しているSEは「日本の99%の企業に対して経営とITを組み合わせた提案ができる」ということになります。あくまでも理論上ですが、非常に魅力的なスキルであることがわかります。

理屈的には、SEが中小企業診断士を取得することで、経営的な提案もしながらシステム提供できるということです。

実態は関係ない場合がほとんど

上記の通り、SEが中小企業診断士の資格を取得することで、理論上は経営コンサルとシステム提供が同時にできることになります。しかし、実際にそうなることは少ないです。なぜなら、システムの提供と経営コンサルは別物だからです。

経営コンサルはおろか、基本的にSEはIT戦略の提案もあまり行いません。顧客の業務を理解したうえでシステムの提案は行いますが、そのシステムをどう活用するかは顧客次第で、その戦略のコンサルを行うのはITコンサルタントや経営コンサルタントの仕事です。

要件定義や開発に来たSEが、顧客に対して経営についてのコンサルを行えば、顧客は違和感を感じる可能性が高いです。あくまでもシステムの活用方法やシステムの内容を説明して作るのがSEの仕事ということです。

イメージとしては、パソコン修理屋がネットビジネスの提案をしているようなものです。たしかにネットビジネスはパソコンを使用するが、パソコン修理とはなんの関係もないということです。

パソコン修理屋はパソコンを直すのが仕事で、そのパソコンをどう使うかは顧客が決めることです。パソコン修理屋がネットビジネスの提案をして情報商材を売れば、ただの怪しいパソコン修理屋です。

それと同じで、SEが経営とITを組み合わせたコンサル業務を急に行うことはありません。システム開発のための提案と経営コンサルはまったくの別業務だということです。

SEが中小企業診断士を活かすには

上記の通り、SEが中小企業診断士を取得することで経営とITを組み合わせた提案ができるようにも思えるが、実際はそのような機会はないということでした。パソコン修理屋がいきなりネットビジネスの提案をするくらいに関係のないことで、顧客がSEに求めていることは経営コンサルではなくあくまでもシステム開発だということです。

多少システムの使い方や業務への活用法を提案してくれるとありがたいですが、経営にまで突っ込むのはおかしいということでした。なのでSEがそのまま中小企業診断士の資格を活かすことは難しく、またIT企業での評価も微妙かもしれません。

そこでおすすめの方法が、ITコンサルタントに転職する方法です。SEが要件定義で中小企業診断士のようなコンサル業務を行うのはおかしいですが、ITコンサルタントであれば問題ありません。

むしろ経営に絡めてIT活用の提案を行うのがITコンサルタントの仕事なので、ITコンサルタントにとって中小企業診断士の資格は有効と言えるでしょう。実際中小企業診断士の資格を取得しているITコンサルタントは多いです。

SEからITコンサルタントに転職したい方は多いと思いますが、その場合は中小企業診断士の資格が有効です。逆にSEとして業務提案を行いたい場合、中小企業診断士ではなく顧客の業界に関連する資格を取得して、あくまでも業務の範囲内で提案するようにしましょう。

SEが経営にまでアドバイスする機会はほとんどありません。ITをベースに経営アドバイスを行うのはITコンサルタントの仕事なので、そういった業務を行いたい方はITコンサルタント向きだということでした。

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