SIerでは1人で客先派遣されることがありますが、自社の社員がいるのといないのでは違いがあります。1人で客先派遣と言ってもだいたい他社のエンジニアやフリーランスエンジニアがいるのですが、やはり自社の人と関わるのとは異なります。
というのも、特に最初のうちは自社の人に対して行うように気軽に質問しにくいのです。世間話やそのプロジェクト内の仕様等に関する質問や話し合いならまったく問題ないのですが、技術的なことになると相手の方が詳しくても質問するのに躊躇してしまいます。
相手からすると技術を教える義理はないわけですし、実際人によってはなぜ自分が他社の人間に技術を教えなければならないのか、と思うかもしれません。新人エンジニアのうちに1人で客先派遣されると辛いものがありますが、なんとか成長機会に変える必要があります。
そこでこのページでは、主に若手エンジニアが1人で客先派遣されてしまった場合のスキルアップ方法について解説します。
技術については周りが教えてくれるわけではない
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人によって考え方が異なりますが、基本的に技術分野については他社の人に聞くのではなく、自分で勉強する必要があります。親切なエンジニアがいれば教えてくれるかもしれませんが、本来教える義務はありません。なので、そこに頼り切るのはあまり良くないでしょう。
プロジェクトの仕様やルールなどはそこで聞くしかないので、先にプロジェクトに参入している人に聞くのは当然の流れと言えます。また明確に誰が新しいメンバーに教えるかは明確になっていないものの、既存のメンバーが新規のメンバーに教えるのはほぼ義務と言っても過言ではありません。
新規メンバーに聞かれているのにプロジェクト内のことを話さないのは職務放棄と言えるでしょう。プロジェクトの仕様等はこのように聞くしかないので良いのですが、それと技術面の話を混同してはいけません。
たしかにそのプロジェクト内で使用されている技術はプロジェクトに当然関係ありますが、そのプロジェクトだけの技術ではないので、書籍やネットでも調べることが可能です。プロジェクト参入前から仕様を知っている人はいませんが、技術に関してはプロジェクトに必要な技術力をあらかじめ兼ね備えているという名目があります。
すべての技術をカバーするのは難しいのですが、本来プロジェクトに参入する時点で技術力は身に付けていなければならないのです。実際には技術力が不足しているケースも多いですが、「知らなくて当然なのだから周りが教えてくれるだろう」という態度はNGです。
すでに数年エンジニアの経験がある人からすれば当たり前のことですが、社内で数か月の研修、もしくは研修なしでいきなり開発現場に1人で常駐させられるようなケースもあるようです。
はっきり言ってこれは会社も悪いのですが、それはプロジェクトからすると関係ないので、新人のエンジニアであってもプロの仕事が求められてしまいます。プロジェクトに参入している以上新人エンジニアであっても周りが手取り足取りやってくれるわけではなく、自分で勉強する必要があります。
書籍やネットで勉強する
1人で客先常駐させられている場合、技術について、質問するのが難しいのは上述の通りです。親切なエンジニアが教えてくれることもありますが、基本的には自分で勉強することになります。
まずはその覚悟を持つことが重要ですね。そして具体的な勉強方法ですが、書籍やネットが中心になるかと思います。基礎ができていない場合基礎から徹底する必要がありますが、すでにプロジェクトに配属されているということは最低限の技術力は持ち合わせているかと思います。
なので、プロジェクトに必要な技術を書籍やネット検索で補っていく形になるでしょう。動画で勉強しても良いのですが、動画の内容は基礎的なものが多く、なおかつ網羅的に学習する際に便利なものです。
必要な部分のみをピックアップして勉強するのには動画はあまり向いていません。なぜなら、前後関係を見ずにピンポイントで抜き出すとよくわからない場合が多く、なおかつ動画のどの辺で自分の必要な情報を解説しているのか探すのに時間が掛かるからです。
書籍やネット検索で調べた方が明らかに効率的なので、動画はあくまでもプログラミング初心者やまだ経験が浅い人向けのものになります。SIerで働いていると短時間で効率的に技術の勉強を進めなければ時間が足りなくなるので、書籍とネット検索での学習をおすすめします。
余力があれば個人開発もおすすめ
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業務とインプットで手いっぱいの可能性が高いですが、余力があれば自分でも環境構築して開発してみることをおすすめします。受注開発や個人でのアプリリリースなどに役立つ可能性もあるので、必ずしも今の仕事に役立つだけではありません。
また将来的に転職やフリーランス化や起業を考えている場合、なおさら個人開発にチャレンジしてみる価値があります。現在の仕事に役立つことはもちろん、自分の可能性を広げるという意味でも自分だけでの開発経験は非常に有意義なものです。
環境構築が面倒、時間がない、ということであればExcelのVBAなどから始めてみても良いと思います。VBAだと勉強にならないという意見もあるかもしれませんが、そんなことはないでしょう。
自発的にプログラミングを行う経験が重要で、また小さなシステムからでも完成させると次につながります。小規模なシステムでも大規模なシステムでも基本的なロジックは同じで、積み重ねていくだけです。
小さなものからでも自分でプログラミングに取り組んで作っていく習慣を身に付ければ、技術力は確実に伸びていきます。一定のレベルまでいくと適当に作っているだけでは技術力が伸びなくなっていきますが、最初のうちはとにかく何でも良いので自発的に作る経験を積み重ねることが重要です。
ある程度のレベルになれば受託や個人開発で収益化することも可能なので、そのレベルを目指して経験を積むのが良いのではないでしょうか。逆に言えば、SIerで似たような技術や業務知識にばかり特化すると将来的にWeb業界への転職やフリーランス化が難しくなります。
今のプロジェクトで活躍するためのスキルアップももちろん重要ですが、なるべくなら視野を広げて技術に向き合っていくと良いかと思います。