商社は大きく分けて総合商社と専門商社がありますが、今回は主に総合商社のSEについて解説していきます。理由としては、専門商社は数が多く、状況が様々で、なおかつ専門商社に絞ったSEはほとんど存在しないからです。状況については、たとえば社内にIT部門を持っている企業もあれば、システム回りのことはすべて外部ベンダーに委託している企業もあります。

どちらかというと、専門商社に関してはシステムのことは外部ベンダーに委託している企業が多いです。しかし、だからと言って商社専門のSIerが多いわけではありません。専門商社はシステム規模がそれほど大きくないため、たとえば金融案件を得意とするSIerが補助的に専門商社のシステム開発も請け負っているような事例が多いのです。

つまり、専門商社に特化したSIerもあまりなく、専門商社の社内SEもあまり存在しないということになります。そこでSEとして商社に焦点を当てるなら総合商社ということになるのですが、総合商社の状況は少々特殊です。

SE視点の総合商社の状況も踏まえ、仕事内容について解説していきます。

 

総合商社で扱っているシステムはシンプル


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総合商社のメイン業務は物を右から左に流すことです。事はそう単純ではない上に投資等も行っているのですが、物凄く平たく言えば商社は商品を仕入れて売るというシンプルな業態を取っています。

つまり、システムも単純なのです。同じ大規模システムでも金融システムや官公庁のシステムの方がまだ複雑で、バージョンアップも多いです。特に銀行のシステムなどは計算処理も行うため、法改正に応じて細かい処理の修正等も多くなります。

また物流システムなども、最新技術を取り入れたり統廃合が多いため意外とSEの活躍の機会は多いです。集積の効率化やデータをリアルタイム表示するようなシステムにはかなり力を入れています。

それに対して総合商社のシステムはシンプルかつ修正が少ないので、たとえばSIerにとってもメイン顧客ではありません。専門商社同様に、金融や物流を得意とするSIerが補助的に手掛けているようなイメージになります。

 

総合商社には社内SEがいる

専門商社は上記の通りベンダーへの依頼も少なく、なおかつIT部門も設けていない場合が多いということでした。その結果、簡単なシステムの設定や書き換え等は営業職や事務職の人が少し勉強して対応しているケースが多いです。

一方で、総合商社のシステムはシンプルですが規模が大きいため、社内SEが担当しています。またバグが発生した際の影響が大きいという理由もあります。しかし修正や改良のニーズはあまりないため、保守・運用が総合商社の社内SEのメイン業務になります。

他の業界に比べてシステムへの注目度が低いことや、間接部門であることなどから総合商社での社内SEの立ち位置はそれほど高くはないようです。企画や営業のような直接部門に比べると平均年収はやや低いのですが、その分激務でもなく、ワークライフバランスを保ちやすいというメリットがあります。

 

総合商社の社内SEは新卒採用が多い


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総合商社のシステムや業務内容については上記の通りですが、総合商社は社内SEを新卒採用から育てているケースが多いです。しかも、理系で技術を専門的に習得してきた学生だけでなく、文系でプログラミング経験がない学生を社内SEにするケースもあります。

また、別の部署から異動で社内SEになり、そこで一から技術の勉強を始めるケースも多いようです。なぜこのようなことが起こるかと言うと、間接部門で、なおかつシステム的にそこまで高い技術力が必要なわけではないからです。

業界によって社内SEの立場は変わってきますが、総合商社においては事務職に近い扱いになります。総合商社は大手企業で福利厚生が充実していますが、出産や育児に対してのサポートも充実しています。

その結果、「育児に専念するために現場を離れ、社内SEに異動する。」といったこともあるようです。総合商社の社員は国をまたいで物を右から左に流しているため、海外出張等も多いです。

しかし社内SEについてはあまり海外出張などはないため、育児等で忙しい社員のための部署としてちょうど良いのです。上記の通りシステムもシンプルで高い技術が求められるわけでもないため、一から技術を身に付けても間に合うということです。

 

外部からの転職もメリットが大きい

総合商社のSEは新卒や内部からの異動が多いということでしたが、外部から転職することも可能です。システムがシンプルで改修が少ないとは言え、IT企業等でスキルを磨いた社員がいると便利なのです。

システムのメンテナンスや改修だけでなく、ちょっとしたツールを作って業務効率化するようなことも可能だからです。そのため、ワークライフバランスを求めているSEにとって総合商社の社内SEは狙い目と言えるでしょう。

他には、総合商社の肩書が欲しいという人もいるかもしれません。上記の通り総合商社の社内SEの業務自体はそれほど難しくはないのですが、その分人気があり、特にSIerから総合商社のSEを狙う人は多いです。

倍率が高くて入社するのが難しいのですが、ワークライフバランスや肩書を求める人にとっては応募価値が高いです。積極的にチャレンジしてみると良いかと思います。

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