医療業界のSEと言っても複数の立場があるのですが、具体的には以下のようなものがあります。
- SIerのベンダーSE
- メーカーの医療機器組み込みSE
- 病院内の院内SE
- AI等最新技術を研究するSE
医療業界に携わるSEには上記のようなものがあります。このページではSEが医療業界に転職する方法について解説しますが、上記の立場についても踏まえた上で紹介していきます。
共通の必須スキル
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医療業界に携わるSEには複数の種類があることを説明しましたが、まずは種類に関係なく必要なスキルについて解説します。具体的には、以下のようなスキルはどの立場のSEであっても必要です。
- 一定以上のITスキル
- 医療業界の業務知識
- コミュニケーションスキル
基本的なことではありますが、上記のようなスキルが必要不可欠です。まず一定以上のITスキルについては、医療業界にSEとして関わる以上ITの専門家である必要があります。ITの専門家として仕事をするからには、ITスキルが必要です。
具体的なスキルレベルは上で説明した立場によって異なりますが、最低限ソースコードの読み書きはできている必要があります。次に医療業界の業務知識についてですが、ネットや書籍で事前に基本事項を押さえておくと良いでしょう。
システム開発自体は自分の担当部分の業務知識とその周辺知識があればなんとかなるかもしれませんが、むしろ医療業界の人との会話やドキュメント作成時に業務知識がないと困ります。
病院内の院内SEは医師や病院事務やMRと会話したり書類配布する機会があるため、業務知識が必須です。ベンダーや組み込みSEも病院の院内SEとは直接会話したりドキュメントのやり取りを行う可能性が高いため、そこで業務知識が欠けていると不信感を招きます。
業務について知らない相手に対してシステムの要件定義や設計を任せるわけにはいかないため、信頼を得るためにも業務知識は身に付けておいた方が良いです。また単純に、せっかく医療業界のシステム開発を行うなら医療業界の業務知識を踏まえた上で要件や設計や実装を考えた方が楽しいかと思います。
自分が何をやっているのかよくわからないまま作業していてもミスにつながる上に楽しくないので、どうせなら業務知識の勉強にも力を入れた方が良いですね。コミュニケーションスキルと言っても幅広いのですが、口頭でのコミュニケーション、資料作成、ドキュメント作成、メール作成、すべて含めてのコミュニケーションスキルです。
システムを作るにはそれに付随して連携や説明を行う必要があるため、自分自身やシステムについて各種媒体で説明する能力が必要になります。また、職に就く前に面接段階でもコミュニケーション能力は必要です。
医療業界への転職方法
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上記の必須スキルが身に付いていることが前提ですが、求人探しや応募までの流れはネットを使用するのが一般的です。もともと医療業界に携わっていてコネがあるなら話は別ですが、そうでないならネットを活用するのが最善策でしょう。
また上で医療業界のSEと言っても複数の種類があることを説明しましたが、なかでももっとも参入障壁が低いのはSIerです。医療業界だけでなくSIerは慢性的に人手不足であるため、スキル要件をある程度満たしていれば転職することもそこまで難しくはありません。
またSIerで働けばある程度のスキルが身に付くというメリットもあります。ただし他の種類に比べて労働環境は厳しいので、スキルアップしたら他の種類のSEに転職するのもありです。
メーカー系のSEと院内SEはSIerに比べると求人が少なく、また倍率も高い傾向にあります。そのため、スキルや経験がない状態だとハードルは高めかもしれません。メーカー系SEは技術力が求められ、院内SEは業界経験や業務知識が求められます。
なので、メーカー系SEや院内SEに応募して不合格だった場合、まずはSIerに入ってスキルアップするという選択もあります。SIerでITスキルと業務知識を身に付ければ、メーカー系SEや院内SEに転職しやすくなります。
日本の労働市場のパラドックスでもありますが、入社難易度が高い会社ほど業務が楽で、逆に入社難易度が低い企業ほど業務がハードなケースが多いです。つまり、SIerのハードな環境で過ごせばスキルが身に付くため、メーカー系SEや院内SEに転職しやすくなるということです。
逆にメーカー系SEや院内SEからSIerに転職した事例も知っていますが、前職よりも労働環境が厳しくなるため付いていけずに離職するパターンが多いようです。極端な言い方をすれば、ぬるま湯ほど入るのが難しいのですが、一度入ってしまうと抜け出せなくなるようなイメージです。
ちなみにAI等の研究をしているSEは、他のSEとは一線を画しています。一般的にネットで募集されていることもありますが、狭き門です。大学院のコネなどで就職している人が多いような世界になります。
外部からでも参入は可能ですが、そのためには高度なITスキルと業務知識が求められます。特にITスキルについてはSEのなかでも突出している必要があるので、ハードルは高いです。
以上SEが医療業界に転職する方法を紹介してきましたが、基本的にはITスキルと業務知識を身に付けて、ネットで応募する、という流れになります。そして院内SEやメーカーの組み込みSEになるのは多少倍率が高いので、不合格になった場合は前段階としてSIerに就職するのがおすすめということでした。
SIerは人手不足なので参入障壁は低いのですが、労働環境がハードな分スキルアップはしやすいです。ただしずっとSIerで働き続けるのは大変なので、SIerで身に付けたスキルをベースにメーカーや院内SEを検討するのも良いですね。