SIerから転職したい人は多いかと思いますが、そのなかでもWeb業界などのIT系ベンチャーへの転職は目立ちます。労働時間を減らしてワークライフバランスを保ちたい人は他の業界の社内SE、技術志向が強くよりスキルアップしたい人はWeb業界のITベンチャーなど、といった転職は一般的と言えるでしょう。
しかし、何の対策もなしに簡単に転職できるわけではありません。なぜなら、SIerとITベンチャーでは必要となる技術や仕事の進め方が異なるからです。そこでITベンチャーに転職するために必要なスキルを紹介していきます。
高い技術力が求められる
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SIerからITベンチャーに転職する場合、ほとんどの場合エンジニアとしての転職になるでしょう。なかには営業職やWebマーケターとして転職する人もいるかもしれませんが、その場合後述する対人能力等がより必要になります。
エンジニアとして転職する前提だと、SIerよりも高い技術力が求められると考えて間違いないでしょう。SIerの場合プロジェクト内の技術や業務知識が求められますが、ITベンチャーの場合Web系のトレンド技術を追いかける必要があります。
プログラミングや設計の基礎的なスキルが身に付いていることはもちろん、常に最新技術をキャッチアップしていく必要があるので、勉強熱心であることも必要です。ITベンチャー企業はホームページやSNSに社員の様子をアップしていることも多く、それらの写真は華やかです。
写真や会社の雰囲気が華やかなため仕事をせずに遊んでいるようにも見ますが、内部の実態としては意外と地味でなおかつ厳しいです。企業のイメージ戦略として目立つためにあえて高級店での飲み会や社員同士の交流をアピールしていますが、仕事自体は古くからある大手企業や中小企業よりもハードで、仕事熱心でないと務まらないということです。
エンジニアについては技術力が必要不可欠で、勉強熱心でないとプロジェクトについていけないはずです。戦略上あえて華やかな面ばかりアピールしている企業でも内部の環境は厳しいので、「SIerと違って楽しそう」「社員が飲み会で遊んでばかり」と安易に考えないことをおすすめします。
もちろん、「最新技術を追いかけたい」「ユーザーからの注目度の高いサービスを作りたい」「自分が誇りに思える仕事に全力投球したい」といった気持ちでITベンチャーを目指すなら素晴らしいと思います。
いい加減な気持ちで受けてもそもそも受からないと思いますが、それで万が一入社できても入社後のギャップに苦しむ可能性が高いでしょう。実際私の知っている例でも大手SIerから有名ITベンチャー企業に転職し、精神的な病になって離職したケースがあります。
その後なんとか再就職できたもののエンジニアからは離れて収入も半分以下になってしまったとのことだったので、良い面だけでなく、大変な部分にも目を向けることをおすすめします。
コミュニケーションスキル
SIerにコミュニケーションスキルが不要というわけではありませんが、ITベンチャーの方がより積極的にいろいろな人とコミュニケーションを取る必要があります。まずプロジェクト内では、開発がウォーターフォールのように工程通りに進んでいくわけではありません。
そのため、仕様変更のたびにプロジェクト内でコミュニケーションを取ってばらばらにならないようにする必要があります。口頭でのコミュニケーション、メール、書類、といろいろありますが、それぞれをきちんと使いこなしていかないと開発が非効率的になり、場合によっては大きな損害が発生します。
営業トークや雑談のスキルが必要というわけではありませんが、少なくとも自分の開発状況をきちんと伝達し、相手の話を理解する必要があります。SIerと比べると臨機応変なコミュニケーションが求められます。
またITベンチャーは部署をまたいで連携することが多いです。SIerの場合エンジニア同士やクライアントとのコミュニケーションが大半かと思いますが、ITベンチャーの場合営業や企画の担当者ともコミュニケーションを取る機会が多いです。
その際には、実現不可能なことを言ってきたり技術的な説明をしても伝わらない、といったこともあるでしょう。エンジニア同士なら伝わることでも伝わらなかったり、相手の説明が感覚的すぎて何を言っているのかよくわからない、といったこともあるかもしれません。
その場合相手にある程度合わせてコミュニケーションを取る必要があるので、技術的な話は誰にでもわかるように噛み砕く、感覚的に話してきた場合自分の頭のなかできちんとわかりやすいように落とし込む、といった作業が重要になります。
SIerでエンジニアとの会話に慣れている人は他の職種の人と業務連絡するのが難しく感じるかもしれませんが、いろいろな思考回路の人がいるという勉強にもなるので、積極的にコミュニケ―ションを取ることをおすすめします。というよりも必須です。
目標意識や将来に向けての計画性
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これはスキルと言うべきか微妙ですが、ITベンチャー企業で働くなら目標意識や将来に向けての計画性がある程度必要かと思います。上で説明した通りITベンチャーの労働環境は楽ではなく、厳しい面も多いです。
今の時代大手SIerでも安泰というわけではありませんが、ITベンチャーならなおさらその会社で働いていれば将来が保障されるというものでもありません。こういった状況で頑張るには目標意識や将来に向けての計画が重要になるのではないでしょうか。
先のことを考えていなくてもモチベーションを維持できる人はいるかもしれませんが、少なくとも私なら難しいです。会社に貢献したらポジションが約束される、会社が絶対に成長する、というわけではないので、ぜひ自分自身の目標や計画を明確にすることをおすすめします。
よくある例としては、ITベンチャーで働いて経験を積んで独立する、起業する、などです。実際ITベンチャーで働いているエンジニアはこのような目標を持っているケースが多く、だからこそ厳しい環境でもモチベーションを維持しながら勉強や業務に取り組めているのです。
なるべくなら、ITベンチャー企業に転職する前に先のことも考えておくと良いでしょう。ITベンチャー企業に入社することがゴールではありませんし、そこでモチベーションを維持するためにはより先の目標が重要になるということでした。
ただし具体的な目標がなくてもITベンチャー企業で身につけたスキルは将来的に役立つ可能性が高いため、先のことはあまり考えずにがむしゃらに頑張るのもありでしょう。何にモチベーションを感じるかは人それぞれなので一概には言えませんが、モチベーション管理が不可欠で、目標や将来的なビジョンが原動力になるケースが多いということでした。