SE(システムエンジニア)は残業が多い。そんな話をよく耳にします。
学生や、転職を考えている方の中にも、SEの仕事内容には興味があるけれど、残業が多すぎるとプライベートの時間が取れなさそうで嫌だなと思っている方もいるのではないでしょうか?
この記事を書いている筆者も、大学を卒業してから約7年間、IT関連の会社でSEとして働いていました。
あくまで一例ではございますが、そのときの経験を活かし、SEの残業の実態についてお話ししたいと思います。
SEの平均残業時間は、17時間
厚生労働省が2017年に行った「賃金構造基本統計調査」という調査によると、SE の1ヶ月あたりの平均残業時間は17時間とのこと。
10時間未満の職業もあるため、決して少ないわけではありませんが、突出して多いわけでもありません。
1ヶ月の勤務日数が20日間だとすると、1日あたり50分ほど残業をしているという計算になりますが、この数字をそのまま受け取ってはいません。
というのも、SEの残業は、毎日少しずつではなく、繁忙期にドカっと押し寄せる場合が多いためです。
忙しくないときは定時で退社できるけれど、忙しいときは終電間際まで仕事をしなければならない場合もあるという意味です。
採用面接などで、残業時間について面接官に尋ねようとしている方もいると思います。
そのときも、「平均残業時間」ではなく、閑散期と繁忙期の残業時間をそれぞれ聞くようにするとよいでしょう。
筆者が在籍していた会社の場合
残業時間のお話しをする前に、筆者が在籍していた会社の概要を記載します。
IT業界の中では「お堅い」部類に入る会社でしたが、少しは参考になるのではないかと思います
- 創業50年の独立系SIer(システムインテグレータ)
- 員数1,000名、売上高200億円
- 官公庁、金融系のシステム開発が主な仕事
繁忙期でなければ、定時退社もできる
プロジェクトの期間は、大規模なシステムの入れ替えであれば1年以上、一部の機能の修正であれば1ヶ月など、様々です。
いずれの場合も、プロジェクトの発足当初は比較的時間に余裕があります。クライアントとの打ち合わせや、設計書の作成が主な作業であるため、深夜まで会社に残って作業する必要がないためです。
この時期であれば、定時に帰ることも充分にできます。仮に残業をしても、1日に1時間程度でしょう。
しかし、プロジェクトの序盤といっても、各工程のスケジュールは決まっています。
特定の日までに要件定義が終わっていなかったり、設計書の作成が完了していなかったりした場合、その遅れは次工程に持ち越されることになります。
プロジェクトの終盤にさしかかると残業が多くなるのは、こうした遅れが積み重なった結果である場合が多いのです。
早く帰れるうちに帰りたいという気持ちも分からなくはありませんが、その日に終わらせるべき作業が本当に終わっているか、帰る前にセルフチェックする習慣をつけましょう。
リリース直前や、トラブル発生時は休日返上も必要
前述の通り、プロジェクトの終盤になると、前工程の遅れを取り戻すために残業をしなければならない日も増えてきます。
たとえ進捗が順調だったとしても、クライアントの都合で定時後に作業しなければならない場合もあるかもしれません。
特に、システムの入れ替えや改修を行う際は、一旦サーバを止める必要があるため、クライアントが業務をしている日中に行うことはできません。深夜や、休日に作業することになるでしょう。
また、システム開発の終盤で仕様の漏れや、システム入れ替え後のトラブルなどが発覚した場合、プロジェクトはいわゆる「炎上」した状態になってしまいます。
こうなると、深夜残業や休日出勤は当たり前。
筆者が在籍していた会社では、徹夜は作業効率が落ちるため推奨されていませんでしたが、代わりに休日出勤に駆り出されることはしばしばありました。
あまりに過酷なプロジェクトだと、途中で体調を崩して離脱してしまうメンバーもいるため、それに伴う人手不足も残業時間が増える原因になります。
作業スペースの問題で、深夜シフトをすることも
一方、特にトラブルが起きていなかったとしても、場所の問題で深夜に作業しなければならないこともあります。
具体的には、セキュリティの問題で自社での作業ができず、クライアントの建物の一室にパソコンを持ち込むときなど。
スペースが限られていて、プロジェクトのメンバー全員が同時に作業はできないため、シフト勤務を取り入れる必要が出てくるのです。
もちろん、その場合は日中に休憩を取れますが、仮眠しようとしてもうまく寝つけず、結局ほとんど眠れないまま深夜シフトに入ったことも多々ありました。
まとめ
「SEは残業が多い」という話は、基本的には間違っていません。
しかし、すべてのSEが、一年中残業しているわけでもありません。繁忙期は深夜残業や休日出勤をすることもあるけれど、暇な時期は定時退社できる、そういったパターンが多いのではないでしょうか。
もし、常に残業をしていて心も体も疲れ切っている方がいるとしたら、プロジェクトや会社そのものが問題を抱えているのかもしれません。
上司と相談して仕事量を調整するか、それも難しい場合、退職も検討してみることをおすすめします。