エンジニアには35歳定年説がありますが、これは必ずしも正しくはありません。マネジメント業務中心で担当しているベテランエンジニアも存在しますし、40代、50代になっても技術の最前線で活躍しているエンジニアも存在します。

しかし、会社員のエンジニアであれば当然会社から給料をもらっており、会社にとってその給料が負担になる可能性もあります。ベテランエンジニアは若手エンジニアに比べると全般的にスキルが高いのですが、そのスキルが必ずしも現状会社にとって必要なものとは限らず、新しい技術については若手エンジニアの方がむしろキャッチアップが早いことも多々あります。

そういった事情が重なると、ベテランエンジニアがリストラされてしまう可能性は十分あり、実際にそういったことが起こっています。また会社の経営が厳しい、吸収合併や買収が増えている、といった背景もあります。

そこでこのページでは、いつリストラされても問題ないように40代エンジニアがリストラに備えておきたいことを紹介します。

40代のエンジニアがリストラに備えておきたいこと5選


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まずは40代のエンジニアがリストラに備えておきたいことを列挙していきます。

  • リストラの有無にかかわらず自分自身のキャリアプランを明確にする
  • 個人で技術の勉強をする
  • 技術だけでなく起業や経営にも目を向ける
  • 他の業界、職種にも目を向ける
  • 転職サイトに登録する

以上のようなことが挙げられます。基本的には、リストラを無理に避けようとする努力はあまりコストパフォーマンスが良いとは言えません。「今さら切られてもどうしようもない」「何としてでも会社にぶら下がるしかない」といった気持になるかもしれません。

そのためには社内で顔を売ったり周囲の人のご機嫌伺いに力を入れたりする必要があるかもしれませんが、仮にそういったことに力を入れてもリストラされるときはリストラされるでしょう。なぜなら会社もリストラしたくてリストラしているわけではなく、経営に行き詰っている、方針転換が必要、といった理由があってリストラしているからです。

つまり、いくら会社に懇願したところでどうにかなる問題ではないのです。ただし、上記に列挙したような技術の勉強や経営にも目を向けるといったことを行っていれば、結果的にリストラ候補から外れやすい有力な人間になれる可能性があります。

リストラされてもやっていける市場価値の高い人間ほど会社としても手放したくないので、リストラに備えた対策が結果論としてリストラを防ぐ対策にもなるのです。「リストラされるのは嫌だから会社に何とかしてもらいたい」「ずっとこの会社でやっていきたいから自分の市場価値を高めるための努力を行う気はない」といった人ほど皮肉なことにリストラの対象になりやすいでしょう。

「いつリストラされても大丈夫な状態にするための準備≒リストラされないための対策」となります。市場価値の高い人間は現在在籍している企業でも他の企業でも需要があります。そういう人間になるための努力をすれば、リストラに怯えたり無理に会社にぶら下がる必要がなくなります。

 

リストラの有無にかかわらず自分自身のキャリアプランを明確にする

エンジニアは特にキャリアプランが重要で、自分が今後どのような技術を身に付け、どのような案件に携わっていくのかを明確にしていく必要があります。会社で求められている技術を身に付けて単に歯車として働いているだけだと、リストラなどいざ会社を離れるときに困ります。

運良く市場でのニーズが高い技術を身に付けている方はスムーズに転職できたり個人で仕事を受注したりできますが、多くの場合すぐさま別案件に対応できるわけではないかと思います。

たとえば長年汎用機やインフラのみを扱っているような方はもちろん、Web系の開発に携わっていても最新技術に対応できないとすぐに仕事が取れません。即戦力としての活躍が求められる40代だとなおさらでしょう。

またマネジメント経験があれば転職しやすいのですが、技術分野の経験が他社のプロジェクトと違いすぎるとPM等で参入するのも難しくなります。そこで、自身のキャリアプランを明確にし、必要な技術やその他のスキルを身に付けていくことが重要になるのです。

キャリアプランというと聞こえが良いですが、より直接的な表現をすると「IT市場で生き残るための戦略とそれに基づくスキルアップ」といったところです。今の仕事を一生懸命こなすことは素晴らしいことですが、特に40代ともなるとそれだけだと今後が心配です。

「一生懸命やっていれば会社が守ってくれるだろう」「会社で求められているスキルを身に付けていれば問題ないだろう」といった発想は危険です。ただしそれほど難しい話ではなくて、視野の範囲と勉強の範囲を会社から市場全体に広げるだけです。

長年エンジニアとして活躍されている方は集中力も根気もあって勉強熱心かと思うので、意識的に視野さえ広げれば働き方の自由度が広がり、結果的に自分の収入を守ることにつながります。

努力の方向性と範囲を変えるだけで働き方の自由度も年収も理想に近づけることができるので、リストラに備えて準備した結果、むしろ自分から会社を辞めてもっと別の働き方がしたいと思うこともあるかもしれません。

少し視野を広げれば今の会社にこだわる必要性がないことに気付くので、リストラも怖くはありません。

 

個人で技術の勉強をする

上記のキャリアプランの話と重複する部分がありますが、エンジニアとして稼ぐには技術力が必須です。しかし技術力と一言にいっても技術の世界は膨大で、ニッチすぎる技術を磨いても活用できる機会が少なかったりします。

特に会社でニッチな技術を扱っている方は、市場ニーズの高い技術を個人で勉強しておいた方が良いでしょう。もちろんニッチな技術を身に付けている人は希少価値がありますが、合わせて王道の技術も身に付けていると市場価値が高くなります。

言語で言えば、現状Cobol、アセンブラ、Cなどを扱っている方は、PHPやPythonやRubyやスマホならkotlin、Swiftあたりを個人で勉強しておくと良いかと思います。そうすることで、汎用機からスマホまでなんでもOKなエンジニアになれます。

また汎用性があるため、何かの技術を学んでいれば他の技術への応用は早いです。ただしいざリストラされてから勉強を始めても収入が途絶える期間が発生してしまうので、早めに勉強しておいた方が良いということです。

ちょっと視野を広げて勉強するだけでも選択肢は大幅に広がるので、会社で必要な技術以外は勉強しない、というスタンスはもったいないと言っても過言ではないでしょう。また自分から新しい技術を学んだ方が開発全般が楽しくなり、会社での開発業務でもより積極性が出てきて楽しめるかもしれません。

自分の市場価値を高める意味合いでも、純粋に技術を楽しむ意味合いでも、個人で技術をキャッチアップして勉強し続けることをおすすめします。勉強すれば、結果的にリストラも怖くなくなるでしょう。

 

技術だけでなく起業や経営等にも目を向ける

エンジニア教育ではよく「技術バカにはなるな」ということが言われるかと思います。私自身も新人エンジニアの頃よく耳にしていましたが、会社としてはおそらく技術だけでなく人とのコミュニケーションやクライアント対応も大切にしてほしい、という意味合いで言っているのだと思います。

なぜなら、いくら技術力が高くても他の部分でクライアントとトラブルを起こせば仕事がなくなりますし、そうでなくても業務に差し支えるからです。会社目線で見ると技術+コミュニケーション能力等があれば問題ないかもしれませんが、自分のスキルとしては技術力を活かした独立、起業、経営、マーケティングなどにも目を向けた方が良いでしょう。

極端に言えば、技術だけの人間は使われるだけの存在になってしまいます。会社に言われたものだけをひたすら作るよりも、消費者ニーズを考えてシステムを考案したり、技術を収益化する方法について考えたりした方がメリットがあります。

せっかく今まで身に付けてきた技術があるので、その技術範囲を広げ、同時に経営やマーケティング的な観点から技術を見つめなおすことも重要なのです。そうすることで、リモートワークや個人での受注、アプリ開発、といった会社員以外の選択肢も見え、副業することでリスク分散することも可能です。

他には、サラリーマンをしながら起業するようなこともできます。選択肢はいろいろあって技術を活かしてできることが多いことがわかれば、現在所属している企業からのリストラはそれほど問題ではありません。

 

他の業界、職種にも目を向ける


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上で説明してきた方法は、いずれも勉強して技術の幅を広げたり技術を仕事に活かす方法でした。しかし、なかにはそこまで勉強したくない、プライベートの方を優先したい、といった方もいるでしょう。

もちろんそれは尊重すべき考え方で、みんながみんな仕事に邁進するわけではありません。新たにいろいろ努力をするのが嫌だからこそ、リストラされずに今の地位をキープしたい、という意見も納得のいくものです。

ただし、そういった志向だとエンジニアはあまりベストな職種ではないでしょう。エンジニアはスキルアップし続けることが前提の職種なので、同じことを繰り返しているとリストラされなくても仕事はいずれなくなります。

またエンジニアとしてのスキルアップキャリアアップを心掛けていれば自力で市場で生き残ることができるので、そもそもリストラされるかどうかは眼中にないはずです。極論を言えば、リストラされるかどうかや、現状の地位を守れるかどうかについて意識が向いている時点でエンジニア的な発想ではないと言えるでしょう。

もちろんこれは極論なので、人それぞれ考え方は異なるかと思います。しかしスキルアップ、キャリアアップを図っていれば、他の職種に比べてエンジニアは現状の地位に関係なく選択肢が多いはずなのです。

それだけ自由度が高いなかで現状維持や安定性を狙うのであれば、他の業種、職種にも目を向けた方が良いかもしれません。年収が下がってしまう可能性もありますが、エンジニアよりも残業が少なくプライベートを優先しやすい職種も多いでしょう。

たとえば、社内SE、一般事務、経理、などです。これらの職種は開発エンジニアよりも平均的に年収が少ないですが、プライベートを優先させやすい職種と言えます。または、技術力を活かして個人事業主等会社員以外の働き方を選択するのも一つの手ですね。

 

転職サイトに登録する

転職サイトに登録するタイミングは自由ですが、早めに登録しておいても損はないでしょう。直近で転職するつもりはないが、早めに登録して求人を見たり、早めにキャリアアドバイザーに登録しておく、といったことも可能です。

転職サイトに登録しておけば転職しやすいことはもちろん、市場分析にも使えます。上で技術の勉強に個人でも取り組んだ方が転職に成功しやすいと説明しましたが、具体的に何の技術を勉強するか決める際にも転職サイトは役立ちます。

求人を出している企業のページに飛べば、メインで扱っているシステムや技術内容はある程度記載されているからです。具体的に狙っている企業があればその企業で扱っている技術を勉強すれば良いですし、そうでない場合複数の企業を見て、需要のありそうな技術を習得すると良いです。

またエンジニア向けの求人サイトだとプログラミング言語ごとにどのくらい求人数があるか一目でわかるようになっているものもあるので、非常に便利です。転職サイトは転職のときだけでなく、市場リサーチや勉強する技術の選択にも役立ちます。

登録しなくても見れる求人も多いので、最初は登録せずにとりあえずリサーチだけやっておく、といった使い方も良いかもしれません。重要なのは、視野を広げていろいろな選択肢を探り、方向性が決まったらそれに向けて勉強を進めていくことです。

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