ブラック企業の定義は様々ですが、そのやり口の一つに「退職を認めない」というものがあります。
上司があの手この手で引き止めてくる、という程度であれば普通の企業ですが、中には「退職届を受け取らない」「損害賠償などの名目で金銭を要求してくる」など、信じられない対応をしてくる企業も存在します。
もちろん、退職は労働者の権利であり、よほどの過失がない限りは、損害賠償の対象になどなり得ません。例え就業規則に書いてあったとしても、法律の方が強いに決まっているのですから、当然です。
こうした場合は、強引に退職してしまっても何ら問題はありませんが、誰もが強気に主張できれば苦労はありませんよね。
そんな方たちのために生まれたのが、最近話題となっている「退職代行サービス」です。
どのようなメリット・デメリットがあるサービスなのか、解説いたしましょう。
そもそも退職代行サービスとは？
退職代行サービスは、読んで字のごとし、退職の手続きを労働者の代わりに行ってくれるサービスです。
社員との交渉や、面倒な書類手続きも担当してもらえるため、気が弱い人や面倒くさがりな人には、非常に有難い存在ですね。
まだまだ新しい事業のため、料金は業者によってピンキリですが、平均して3～5万円ほどと言ったところです。
注意点として挙げられるのは、保険証の受け取りなど、本人でなければ行えないこともある、という点です。
何をどこまでやってもらえるかは業者次第ですので、サービスを受ける前に確認しておくと良いでしょう
退職代行サービスのメリット
退職代行サービスを利用するにあたり生まれるメリットについて、3点ほど、簡単にご説明しましょう。
- 気が弱い、押しに弱い人でも引き留めに合わずに辞められる
パワハラ気味の上司に退職を告げるのは、非常に勇気がいりますよ。また、色々な交換条件を出されてしまうと、意思がぐらついてしまうかも知れません。
そうした圧力に悩まされることなく手続きを進められるため、特にブラック企業にお勤めの方にオススメです。 - 煩わしい手続きを一通りやってもらえる
ここで言う手続きとは、書類提出だけではなく、有給休暇の取得交渉や、離職票の送付交渉、未払い残業代の請求なども含んでいます。退職の際に気を付けるべきポイントについても教えてもらえる出来るため、話を聞くだけでも損はありません。
退職代行サービスのデメリット
続いて、退職代行サービスならではのデメリットもご紹介します。
- 悪質業者に注意
前の章にも書いた通り、退職代行サービスはまだまだ新しいサービスです。そのため業界全体のクオリティは一定せず、中には誠意のない、悪質な業者も一定数存在するようです。
そうした業者に頼んでしまうと、「退職すること」それだけしかやってもらえず、退職金の交渉などの面で、不利な条件を呑まされる可能性もあります。 - サービス利用後には、会社に顔を出しにくくなる
退職手続きそのものは進めてもらえても、仕事の引継ぎや書類の受け取りなど、しばらく会社に行かなくてはならないケースがあります。そうした場合、普通に退職を告げた時以上に、上司や同僚に顔を合わせにくくなるかも知れません。
最後の手段として考えるべき
ブラック企業が横行する現代、気軽に利用できる退職代行サービスは、時代のニーズにマッチした素晴らしいサービスだと言えるでしょう。
ですが、「退職＝即、退職代行サービスを使う」という安易な行動は、私はお勧めしません。
何故なら最初に申し上げた通り、退職とは労働者の権利だからです。
本来であれば、お金を支払い手伝ってもらうようなものではありませんので、まずは自分の手で退職届を提出するところから始めた方が良いでしょう。
