スマートに転職するために、使い分けるべき本音と建前とは?
離職率の高い職業として有名なSEですが、その退職理由は「長時間の残業が辛い」、「キャリアアップしたい」、「条件の良いところを探したい」など、ネガティブなものからポジティブなものまで様々ですよね。
ですが、それを職場や転職先に直接伝えるべきかと言うと、一概に答えは出せません。離職時に適当な退職理由を言えば引き留めにあってしまうかもしれませんし、面接で下手なことを言えば雇ってもらえない可能性があります。スマートに転職するためには、本音と建前を上手に使い分ける必要があるのです。
そこで今回は、退職時と面接時、それぞれにおける「言った方が良い内容」「言うと不利になってしまう内容」について、代表的なものをケース別にいくつか解説しましょう。
退職時の引き留めと退職のコツ
退職時にすんなりと辞められれば良いのですが、引き留めにあう人は少なくありません。昇給や業務の割り振りの見直しなどを提示されることもありますが、退職届を出した途端に良い条件を出されても「そんなに簡単に改善出来るなら、今までの扱いは何だったんだ!」と腹立たしくなるだけですよね。
当然、そこで提案された「改善」は、社員を慮ってのことではありません。人員補充や再教育の手間を惜しんでいるなど、会社に不利益が発生するからでしかないのです。そのため会社は必死になって、好条件を提示したり宥めすかしたり、時には脅しまでかけて引き留めようとしてくるわけですね。
まずはスムーズに退職するために、引き留めを跳ね退けるためのコツをご紹介しましょう。
書面より先に口頭で伝える
退職届を提出する際、いきなり総務に送り付けてはいけません。上司にとっては頭越しに手続きをされたことになるため、悪印象を与えてしまい、その後の手続きをスムーズに進めてくれない可能性があります。
退職時期とそれを伝えるタイミング
法律上、退職届の提出後、会社は2週間以内に退職を認めなければなりませんが、だからと言ってそれほど急に辞められるのは、会社にとって非常に負担になります。
辞める際には、希望日の1ヶ月前には退職の意思を伝えると良いでしょう。
また、退職日は出来るだけ忙しくない時期にしましょう。繁忙期や期末の時期だと手続きをする時間を取れず、余計な時間を食ってしまう可能性があります。
引き留められにくい退職理由
退職理由は正直に伝えても問題ありませんが、年収や人間関係など「改善しやすい」理由を言ってしまうと、その分引き留めにもあいやすくなります。
違う業界の仕事がしたい、家業を継ぎたいなどの前向きな理由や、体調の悪化など万人がやむを得ないと考える理由にした方が良いでしょう。
担当業務の引き継ぎ
会社を辞めるからと言って、自分が受け持っていた業務を投げ出して良いわけではありません。引き継ぎについてもじっくり対応する必要があり、それを為すためには相応の時間が必要になります。
出来れば後任に面と向かって直接教えることが出来ると良いのですが、それが難しそうであれば、引き継ぎ用の資料を作成してあげましょう。
退職代行を利用する
どれだけ退職を願い出ても、会社がのらりくらりと無視してきた場合、多少強引な手段が必要になります。内容証明で退職届を郵送したり、退職代行サービスを利用すると良いでしょう。
退職代行は数万円の料金がかかりますが、面倒な手続きを全て任せられるのは魅力的です。特に相手が退職時に損害賠償など、根拠のない脅しをかけてくるようなブラック企業の場合に有効な手段ですね。
面接時に言うべき退職理由
無事に前職を退職することが出来たのであれば、次は転職先の面接です。面接ではスキルや志望動機など、必ず聞かれるテンプレートとなる質問がいくつかあり、退職理由もその代表的なものの一つです。
自分の人となりを判断される重要な問いかけなので、返答には十分注意したいところですよね。まずは好印象を持たれるケースと、正直に言っても悪印象とならないケースについて見ていきましょう。
好印象を持たれる退職理由
スキルアップ、キャリアアップのため
前職が保守的な企業だった場合、運用ばかりでスキルアップが難しい、と考える人は多いことでしょう。スキルアップやキャリアアップについて、具体的なビジョンと共に面接官に伝えると、非常に好印象になります。
やりたい分野に挑戦するため
別の業界のシステムを構築したい、新たな言語を習得したのでそれを活かしたいなど、前職では出来なかった仕事をするための転職、というのも歓迎されます。どんな会社でも向上心のある人が評価されますので、頑張ってアピールしましょう。
将来性のある会社で活躍したかったため
前職と同じ業界のシステム会社で働くのであれば、会社の将来性に注目してみるのも良いでしょう。企業規模が大きくなればなるほど高度なシステムに関わることが出来るので、そうしたチャレンジ精神を訴えると好印象を持ってもらえますよ。
好印象には繋がらないが、正直に言っても問題ない退職理由
年収アップのため
自分のスキルに応じて、相応しい会社に転職するのは誰もが持つ当然の権利です。変に隠す必要はなく、正直に言って構いません。
ただしこの時、「前の会社の年収が不満だった」というネガティブな言い方は避け、「御社の条件が魅力的だった」というポジティブな言い方をするよう注意してください。
長時間残業に耐えかねたため
一昔前であれば悪印象を与えかねない退職理由でしたが、昨今はブラック企業に対する理解が深まっているため、こうした理由も言ってしまって問題ないでしょう。むしろ今の世の中で、それを「根性なし!」と非難するような会社など、こちらから願い下げと言うものです。
また、「残業が多く資格のための勉強時間が取れなかった」など、向上心をアピールするとより好印象を与えられます。
勤務制度が魅力的だったため
新型コロナウイルスによって様々な働き方が求められている現代、いち早くそれに対応した企業は大変魅力的です。フレックス制度や時差出勤、リモートワークと言った制度は多くの方にとって待ち望んでいたものですので、そうした企業に人が集まるのは当然のことと言えるでしょう。
言うべきでない退職理由
好印象を持たれる退職理由とは反対に、悪印象を与えるだけの退職理由も存在します。ついうっかり口に出してしまうと、一気に転職に不利になってしまうので、以下のような理由は絶対に言わないようにしましょう。
人間関係が上手くいかなかった
実際に良くあるケースですが、人間関係による退職は口にしない方が無難です。どれほどその相手に問題があったとしても、採用する方にはそれを判断することが出来ません。単純に「チームワークが苦手な人」と取られてしまう可能性があります。
自分の能力不足
前職で上手く仕事をこなすことが出来ず、自信を失くして辞めてしまった・・・という方も、正直にこのことは言わない方が良いでしょう。理由は単純、能力の無い人を採用する企業などないからです。
もしも自分のスキルに自信が無かったとしても、卑屈にならずに堂々と胸を張って面接に臨みましょう。もちろん、過大な自己評価は後で自分が苦労するだけなので、やり過ぎにも注意が必要です。
まずは落ち着いて、退職理由を自分に問いかける
転職を考えている人にとって、退職理由なんて当たり前に持っているものですが、いざそれを他人に表現しようとしてみると、上手く伝えられなかったり、逆に余計なことを言ってしまったりと、意外と難しいものです。行き当たりばったりで行動するとロクなことにはならないので、一度落ち着いて退職理由を整理する時間を作ってみるのはどうでしょうか。
納得出来る結果を目指すためにも、入念に準備し、転職に臨んでくださいね。