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SI業界はIT業界のなかでも問題視されることが多く、理由としては多重請負構造や長時間労働、給与未払いなどです。給与未払いはあまり多くはありませんが、多重請負構造という法的にグレーゾーンな契約が常態化しており、長時間労働についても事実でしょう。
その結果、SI業界から脱出したいというSEは数多いです。かくいう私もSI業界から脱出した身ですが、私の場合は比較的労働環境には恵まれていました。しかし開発現場では他社の現状を見る機会も多かったため、世間で言うところのブラック企業の環境で働いているSEも多かったと記憶しています。
そこで今回は、SEがSI業界から脱出するための方法について解説していきます。
SI業界のSEから脱出する方法①Webエンジニアへの転職
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SI業界からの脱出を試みるSEは数多いですが、そのなかでもっとも多いのはWebエンジニアへの転職かと思います。明確な統計データはないのですが、私自身がSI業界に在籍していた頃の周囲の状況や、ネットでのリサーチからそのことがわかります。
特に技術志向の強いSEにとって、SI業界に在籍するメリットはあまりありません。上記の通りSI業界は比較的問題が多いうえ、技術についても古い技術を使い回しているケースが多いでしょう。
上流工程になればなるほど技術よりも業務知識が重視されるため、技術から遠ざかっていくということもあります。SI業界に問題を感じているにしろそうでないにしろ、技術志向の強いSEは最終的にWebエンジニアとして活躍するケースがかなり多いです。
他には、業界的に仕事は大変ですがソーシャルゲーム業界への転職者も多いかと思います。私がSI業界から転職する際にIT系の転職エージェントを使用したのですが、そのときエージェントの方もソーシャルゲーム業界への転職は多いとおっしゃっていました。
ただしWeb業界に比べてもソーシャルゲーム業界は労働環境が過酷なので、生半可な覚悟では転職しない方が良いと釘を刺されました。私はもともとソーシャルゲーム業界にも興味を持っていて転職を検討していたのですが、結局エージェントの方の話もあり断念しました。
技術志向がある程度強いのであれば、Web業界のエンジニアという選択肢が無難かつ合理的でしょう。
SI業界のSEから脱出する方法②フリーランスエンジニアへの転身
SI業界で培った技術を活かしてフリーランスエンジニアを目指すという戦略もあります。また、私自身は最終的にこのパターンでした。意図してそうなったのではなく、SI業界を退職してからWeb業界へ転職するまでの間個人で仕事を受注することにも挑戦していたのですが、結局そのままフリーランスになったようなイメージです。
技術力が高くなければなかなかフリーランスになるのは難しいイメージがあるかもしれませんが、仕事を選んだり単価にこだわらなければ仕事自体はあります。私もそれほどスキルが高かったわけではないため、VBAで簡単なツールを作成するような仕事も受注していました。
そうして単価が低くても仕事を続けていくうちにスキルアップでき、徐々に単価を上げたり効率的に仕事をこなせるようになっていきます。技術力は継続すれば身に付いていくのですが、それよりも大変なのが自己管理やモチベーション管理です。
会社員の場合嫌でも職場に行く必要があり、行ったらサボるのも難しいです。しかしフリーランスの場合納期があるだけで、基本的にスケジュール管理は自由です。つまり、仕事の受注量を落とせばいくらでもサボれてしまうというわけです。
馬鹿げた話に思えるかもしれませんが、たとえばゲームにはまった結果仕事の受注を減らして没頭し、生活費が苦しくなる、なんてこともあります。実際にありました。また、その結果モチベーションが下がってしまうこともあるでしょう。
他にも、確定申告の方法がわからない、目標を見失っていく、などの問題もあります。ある程度慣れれば最終的に自己管理もモチベーション管理もできてきますが、そこに至るまでに案外苦労するかもしれません。
自由度が挙がってフリーランスのメリットを活かせるまではおそらく会社員よりもかえって大変なので、その点の覚悟はあらかじめ持っておいた方が良いですね。なかには最初からうまくいく人もいるかもしれませんが、多くの場合失敗や挫折が伴います。
技術不足や仕事が受注できないということもあるかもしれませんが、むしろ自己管理やモチベーション管理の点で躓くかもしれません。
SI業界のSEから脱出する方法③まったくの異業種への転職
最後に、まったくの異業種に転職してSI業界から脱出する方法もあります。技術力を活かして他業界の社内SEを目指す方法もありますし、そもそもSEから離れるという選択肢もあるでしょう。
実際、SEから社内SEや技術を離れた他の職種に転職する人は多いです。SI業界ではなく、SEの仕事自体が合わないという人も割合的に案外多いからです。たとえば、毎日長時間パソコンに向かっているのが苦痛であったり、プログラミング自体があまり好きではない場合もあるでしょう。
向き不向きなのか好き嫌いなのかは断言できませんが、プログラミングが楽しいかどうかは人によってかなり意見が分かれるところです。技術力もある程度活かしたいのであれば社内SE、そうでなければまったく別の職種に転職するのもありです。
私の知っている事例では、飲食業界、介護業界、異業種の営業職、事務職、公務員、税理士、などがあります。異業種への転職は自由ですし、まったくITが関係ないと思っても、どの業種でも多かれ少なかれITは活用されています。
たとえばSI業界から介護業界に転職した人の事例だと、職場のパソコンの調子が悪いのを直した、ちょっとした管理ツールをマクロで作った、といったことがあったようです。その結果職場でも感謝され、人間関係が円滑になったと話していました。
SI業界でシステムを作ってもあまり感謝されることもないかと思いますが、異業種でちょっとしたツールを作れば非常に感謝される、上記の通りこのようなこともあるため、どこでどのようにITスキルが役立つかはわかりません。
今まで培った技術を無駄にはしたくない、という気持ちもあるかもしれませんが、なるべくなら現状に縛られずに自分の選択肢を広げた方が良いかと思います。たとえば飲食業界や介護業界に学歴的な偏見がある方もいるかもしれませんが、上記の事例ではどちらも上位国立大学のいわゆる高学歴です。
技術力をより高めたいのであれば技術を活かした転職や独立を、そうでない場合技術に縛られずにぜひ新たなチャレンジをしてください。