厚生労働省の2017年の調査によると、日本人の有給休暇取得率は49.4%。1年間に20日ぶんの有給休暇があるとして、その半分も取得できていない計算です。

特にIT業界は、慢性的な人手不足のために有給休暇が取りづらいと言われていますよね。

取得率49.4%という数字に納得する方もいれば、「1/3も休めていない」「盆と正月しか休めなかった」「そもそも夏休みすら……」と思われた方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、忙しいSEの方でも有給休暇を取得するための方法をお教えいたします。

 

有給休暇の取得は、労働者の権利

多くの方が誤解していることですが、有給休暇を取るのに、上司の許可は必要ありません。

労働基準法第39条にも、「使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない」と明記されています。

つまり、「この日に休ませていただいてもいいでしょうか?」とお伺いを立てるのではなく、「この日に休みます」とはっきり言い切ってしまえばいいのです。

いかなる理由があろうと、会社は社員からの有給休暇の請求を断ることはできません。

ただし、有給休暇そのものを拒否するのではなく、取得する日をずらしてもらうよう会社から社員にお願いすることはできます。

同じく第39条に書かれている、「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる」という一文がその根拠です。

いわゆる「時季変更権」と呼ばれているものですが、しばしば拡大解釈されがちであるため、注意が必要です。

単に仕事が忙しい、人手が足りなくて休まれると困るという程度では、会社側が時季変更権を行使する理由にはなりません。

仕事が忙しいのは当たり前。社員が滞りなく有給休暇を取得できるように業務を調整したり、代わりの人員を手配したりすることが、会社の使命だからです。

 

誰にも迷惑をかけずに休むための3つの対策

とはいえ、「権利だから」と、当日の朝にいきなり有給休暇を取得して休もうとするのは考えものです。

法律としては許されても、上司や同僚に仕事のしわ寄せがいって、迷惑をかけてしまうかもしれません。

ここでは、できるだけ穏便に有給休暇を取得するための心構えを3つご紹介します。

 

数日前には申請する

体調不良や身内の不幸などの場合は、当日に有給休暇を取りたいと連絡をするのも仕方ありません。会社も、無理に出社しろとは言わないでしょう。

しかし、旅行やリフレッシュのための休暇であれば、遅くとも2・3日前には予定が決まっているはず。その時点で、速やかに有給休暇の申請をするべきです。

緊急の用事でもないのに当日にいきなり申請をした場合、断られないとしても、「計画性のない人間だな」という印象を持たれてしまう可能性があります。

ただし、このときも「休む理由」を伝える必要はありません。

繰り返しますが、有給休暇の取得は労働者の権利。極端に言えば、「ゲームがしたいから」「なんとなく気分が乗らないから」であっても、その理由によって会社が有給休暇の取得を拒否することはできないのです。

どうしても理由を言わなければならない場合は、「私用のため」「家の用事で」とだけ答えましょう。おそらく、会社からそれ以上詮索されることはないはずです。

 

クライアントにも連絡しておく

SEとしてプロジェクトに携わっている以上、クライアントとやりとりをする機会も多いと思います。
可能であれば、「この日は休ませていただくため、連絡が取れません」と、事前に伝えておくとよいでしょう。

仮に連絡しておらず、休暇当日にあなた宛てにクライアントから電話がかかってきても、会社の人が「○○は本日お休みをいただいております」と伝えてくれるはずです。

当然、クライアントも有給休暇を取ることがあるでしょうから、それによってクライアントからの評価が下がったりはしません。

しかし、あなたが会社にいると思って電話をかけた時間は無駄になってしまいます。事前に休むことを伝えておけば、こうしたすれ違いも防げます。

 

休暇当日の業務を引き継いでおく

「自分が休んだら、他の人に迷惑がかかるのではないか」と、必要以上に心配する必要はありません。

SEの仕事は、たいてい何人かのチーム単位で行います。誰かひとりが休んだからといって、チーム全体の動きがストップしてしまうような事態はまず起こりません。

これは、あなたがリーダーやマネージャークラスの役職だったとしても同様です。

とはいえ、まったく影響がないわけではないのも事実。休暇当日にあなたが行う予定だった仕事は、他の誰かが肩代わりしてくれているはずです。

そのため、仮に1日だけの有給休暇だったとしても、業務の引き継ぎメモを作成するのをおすすめします。「あの資料の場所が分からない」と、休日に会社から電話がかかってくるのを抑止する効果もあります。

手書きのメモでも構いませんが、電子メールで関係者全員に送信しておくとよいでしょう。

 

まとめ

有給休暇は労働者に与えられた権利ですが、会社の同僚やクライアントの都合を考えずに取得してしまうとトラブルになりがちです。

気を使いすぎず、けれど自己中心的になりすぎず、スマートに休みが取れるSEを目指しましょう。

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