ハローワークや転職サイトには、膨大な数の求人が掲載されていますよね。その内容は本当に玉石混交で、「これは!」と思うような素晴らしいものから、思わず眉を潜めてしまうような酷いものまで様々です。
ですが、例え納得の行かない条件の企業を見つけても、すぐにブラック企業だと決めつけてはいけません。中には分かりにくい書き方をしているだけで、良く読んでみるとごく普通の条件が書いてあるだけだった、というケースも十分にあります。
今回は、法律や言葉の意味の観点から、誤解しやすい求人票の内容について解説しましょう。

月給と月収の違い

求人票の見るべきポイントがいくつもありますが、給与は特に誤解が起こりやすい項目です。例えば、報酬の書き方の「月給」と「月収」の違いについて、ご存知ない方は多いのではないでしょうか。
この2つは、書き手の違いによる表現の差異ではありません。月給は「月々の固定給」を表し、月収は「手当や歩合を含めた総支給額」を指しています。
つまり、月収には月給を含んだ額が書かれている、というわけですね。言葉の違いを理解した上で求人を探さないと、思わぬ落とし穴にハマってしまうことになります。

みなし残業制

求人票に「○○時間のみなし残業」という文言があると、それだけで敬遠したくなったりはしませんか? それはこの制度が「定額残業させ放題」とイコールだと誤解されていることが原因です。
というのも本来のみなし残業とは、「企業側が支払う残業代の計算を省くため」の制度であり、裁量労働制のような給与形態ではありません。実際の残業の有無に関わらず賃金が発生する、労働者にとって圧倒的に有利な制度なんです。それがいつしか、人件費をカットしたい経営者に都合よく解釈され、今のような形になってしまったわけですね。
ですが、最近はそのような誤解がだんだんと払しょくされ始め、ちゃんと働いた分の残業代が支払われるようになりました。「みなし残業制」だからと言ってすぐに敬遠せず、会社に賃金のルールを尋ねるようにしてみましょう。

法定内・法定外残業時間


定時の時間帯が短く、一日の労働時間が8時間未満の職場に登場するのが、「法定内残業時間」という言葉です。これは「就業時間以上、法定内(1日8時間)以内」の勤務時間のことを指しており、「残業時間だが、賃金は割増されず、残業の上限時間にもカウントしない」という、非常にややこしい概念です。
分かりやすくするために、具体例を挙げてみましょう。

【例】
 定時 = 09:00 ~ 17:00
 賃金 = 時給1,000円
 勤務 = 09:00 ~ 20:00
【労働時間と給与】
 通常勤務 09:00 ~ 17:00 = 1,000円 × 1.00 × 7時間 = 7,000円
 法廷内残業 17:00 ~ 18:00 = 1,000円 × 1.00 × 1時間 = 1,000円
 残業 18:00 ~ 20:00 = 1,000円 × 1.25 × 2時間 = 2,500円
 合計 10,500円

となります。
つまり、名目だけ「法定内残業時間」として給与明細で別個にカウントするものの、実情は通常の勤務時間のこと、というわけですね。

労働条件の把握は大切

仕事をする上で大事なことは、やる気ややりがいはもちろんですが、労働条件も同じくらいちゃんと見なければなりません。例えどんなに楽しい仕事を任されたとしても、それに見合う報酬がなければ、いつかきっと後悔することになります。
労働条件は正しく把握し、自分を安売りしない転職を目指しましょう。

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