人手不足の現代、新たな戦力としてやってくる新人には、大きな期待が寄せられます。しかし当然のことながら、即戦力になる新人なんて、そうそういるものではありません。少しずつ経験を積ませて、教育していくことが重要です。
ですが個人の能力には、どうしても差があります。中にはなかなか仕事を覚えてくれない人もいて、そんな時は教える側も焦ってしまいますよね。
今回はそんな時のために、うまく新人教育をするためのポイントについて、解説します。
知識量のヒアリング
まず行うべきは、新人の知識量の確認です。学生時代はどのようなことを勉強したのか、パソコンはどの程度分かるのか、細かく聞いてみましょう。
例えば「エクセルが出来る」という例一つとっても、「触ったことがある程度」の人から、「エクセル式を使える」人、「マクロを組める」人までピンキリです。習熟度がそれだけ違えば、その後の教え方にも違いが出てくることでしょう。
仕事を教えるためには、まず相手を理解することから始めてみましょう。
不明点の書き起こし
新人に聞かれて一番困るのが、「うまく出来ないのですが……」のような、漠然とした質問ですよね。何がどう駄目なのか、どこが分からないのか尋ねても、経験の少ない新人には、論理的に説明することも難しいと言わざるを得ません。
こういったケースの大半の原因は、不明点の整理ができていないためです。
特にSEの仕事は複雑に組まれたロジックを解析していかなければならないので、慣れない内は混乱し「自分は何が分からないのか」さえ分からなくなってしまうのです。
そんな時は、新人には不明点を書き起こしてもらいましょう。
箇条書きでもフリーフォーマットでも良いので、とにかく文字にしてみてもらってください。自分が書いたそれを眺めてみるだけでも、意外にストンと理解できるようになるものです。
理解していることの書き起こし
不明点の書き起こしをしてもまだ問題を解決できない場合は、「分かっているつもりのこと」の中で、勘違いしている可能性があります。
そんな時は、逆のアプローチをしてみましょう。
つまり、「分からないこと」ではなく、「分かっていること」を書き出してみるのです。盲点となってしまっている意外な落とし穴が見つかることも多いため、じっくりヒアリングすることが大切です。
質問内容を考えさせる
ある程度慣れてきた新人には、質問内容についても考えさせることをオススメします。
「発生した問題に対し、どんな情報があれば解決できるか」ということを想像出来れば、この先どんな問題も解決できるようになります。
上手な質問するためには、想像力と、経験が必要です。新人のうちから問題解決能力を育てることで、将来有望な戦力になってくれるに違いありません。
見切りの重要性を説く
やる気のある新人に有りがちなのが、「新人のうちはひたすら勉強!」と考え、自分一人で何とか解決しようとするタイプです。モチベーションの高さは立派ですが、しかし、それは独り善がりの考え方です。
仕事の世界では、調べれば分かる、ということばかりではありません。社内で常識になってしまっていること、資料に明文化されていないことなど、有識者に聞かなければ分からないことはいくらでもあります。
また、そうでなかったとしても、難易度の高い仕事に長時間かけてしまうと、会社に迷惑がかかってしまいます。そうならないように、「努力すれば解決できる問題か」ということは、常に意識の片隅に置くよう、伝えましょう。
将来のための投資であることを意識する
新人教育は、教える側にとって多大な時間を使うものです。特に繁忙期などは、新人に構っている時間がなく、時には鬱陶しく感じてしまうこともあるでしょう。
しかし、新人を育てることは、将来のための投資です。自分が育てた部下や後輩が、戦力となり、やがて自分や会社のために働いてくれることを想像してみましょう。きっとその時には、何とも言えない満足感に浸ることが出来るに違いありませんよね。