近年は年功序列の制度も薄れてきており、終身雇用という安全神話も崩れ始めていますが、それでも一つの企業に長く勤め続けるメリットには、様々なものがあります。経験を積んで得られるスキルやノウハウがその代表的な例と言えますが、育休や産休、あるいは怪我や病気によって休職すると、そのブランクによって、つい忘れてしまう可能性もありますよね。
そんな時、「そのうち思い出すさ」などと軽く構えるのは禁物です。何よりも「情報」が価値を持つIT業界においては、ちょっとしたミスでも重大なセキュリティインシデントに繋がり間かねません。場合によっては、大問題に発展することだってあるのです。
今回は、そんな休職明けに起こしてしまいがちなミスにはどんなものがあるか、その一例と対策について、いくつかピックアップしてみました。

コーディングの勘がなかなか取り戻せない

一時的にでも現場を離れてみると、それが僅かな期間だったとしても、持っていたスキルは意外なほどどんどんと錆び付いてしまいます。複雑なロジックを組み立てるのに時間がかかったり、どんなメソッドを使えば良いか分からなくなったり、コーディングのスペルも忘れてしまうケースも良くある話です。
復帰早々、仕事をスムーズに進めるためには、事前にある程度の復習をしておくと良いでしょう。理想を言えば、自宅のPCに開発環境を構築するところからやっておきたいところですが、理由があっての休職ですので、そこまで本腰を入れるのは難しいかも知れません。
そんな方は、初級レベルの参考書で構いませんので、一通り目を通しておくくらいのことはしておきたいものですね。

企業ルールを忘れる

企業における独自ルールは大抵、どんな職場に存在するものです。タイムカードの切り方、有給申請の方法、始業の数分前の着席ルールなど、理にかなったものから煩わしいだけのものまで、数え上げればキリがありません。特にこうしたルールの中でも、明文化されていないものは厄介です。うっかりルールを忘れて振る舞い、白い目で見られる可能性もありますからね。
一朝一夕に出来る対策はありませんので、普段からそうした明文化されていないルールやシステムは、資料に纏めておくと良いでしょう。そうすれば復帰時に役立つだけでは無く、新入社員の教育にも使うことが出来ます。効率的に仕事を回していくためにも、オススメの方法ですよ。

オンオフの切り替えが出来なくなる

仕事の場の活気は凄まじく、久々に出社すると、そのエネルギーの激しさに当てられてしまいがちです。特に真面目な人などは、「早く休んでいた分を取り戻さないと!」と考えてしまい、必要以上に仕事に打ち込み過ぎてしまうことがあります。そうして心身に無理を来たし、再び休職、となってしまう方も少なくありません。
そんな悲しいことにならないためには、「慣らし運転」を心がけると良いでしょう。仕事とプライベートをしっかりと分け、働く時は働く、休む時は休むことを意識してください。
大事なことは、「急がば回れ」の精神です。常にしっかりと地に足を着け、落ち着いた心持ちで仕事に臨んでくださいね。

身体が仕事に付いていかない

前章のように慣らし運転を心がけても、場合によっては万全の体調を保つことができないことがあります。それも当然、デスクワークであるSEにとって、パソコンは無くてはならないもの。肩こりや眼精疲労は切っても切れない存在であり、休暇中にほぐれた身体が付いていけず、ガチガチに固まってしまうことがありますよね。
対策として有効なのは、こまめな体操です。定期的に肩を回したり、背筋を伸ばして仕事するだけでも大分違います。パソコン内のスケジューラに定期的に体操を促すメッセージを仕込むなどしておくと、忘れず身体を動かすことが出来るのでオススメですよ。

新しい組織構成に戸惑う

長期間現場を離れていると、組織がすっかり様変わりしていることがありますよね。自分と入れ替わりで入った新入社員や、知らぬ間に昇進していた同僚など、自分が置いていかれたような気持ちになることも少なくありません。
休職から復帰した後は、真っ先に組織図を手に入れ、新しい自分の立ち位置を確認しましょう。自分から意識的に周囲の人に声をかけ、積極的にコミュニケーションを取るのも良い方法ですね。

書類の提出先が分からなくなる


前述の「新しい組織構成」の話にも繋がりますが、しばらく現場を離れていると、特に事務関係の書類の提出先が分からなくなることがあります。総務課や経理課の作業は数多く、しかも突然、求職中に担当者が変わっていることも良くあるケースです。
休みの間に届いているメールは全て目を皿のようにして確認し、そうした業務の変遷を見逃さないようにしてくださいね。

セキュリティルールを忘れる

休職明けのブランクの中でも、特に気を付けなければならないのが、セキュリティに関するルールです。例えばメールの宛先を間違えたり、添付ファイルにパスワードを付けるのを忘れてしまったりなどは、代表的な例と言えるでしょう。
その他にも、社外秘の資料を持ち出してしまう、返却しなければならないUSBを机にしまったままにしてしまうなど、気を付けなければならない点はいくらでもあります。場合によっては重大なセキュリティインシデントに繋がることもあり得ますので、復帰直後は細心の注意を払わなければなりません。
多少面倒だとしても、メールの送信時やデバイスなどの貸し出し時は、同僚にダブルチェックをお願いし、ケアレスミスを無くすよう注意するようにしましょう。

有休を取りづらくなる

長く休職していると、現場の迷惑を最小限にしたくなり、どうしても復帰直後は有休取得を躊躇ってしまいます。特にやむを得ない事情ならまだしも、私用やちょっとした体調不良や微熱程度だと、なかなか休む決断をしにくいものですよね。
ですが、有給取得は会社員にとって立派な権利です。特に2020年は、新型コロナウイルスの感染も警戒しなければならないので、正直に体調不良を申告することは、義務でもあるのです。
休職と有給は別物であり、ある程度「それはそれ、これはこれ」という割り切りが必要です。仕事とプライベート、体調とのバランスを意識して働くよう、気を付けてみてください。

最初が肝心

長期の休暇明けのトラブルは様々ありますが、それと同じくらい気を使わなければならないのが、仕事に対するモチベーションです。毎日早起きをし、満員電車に乗って通勤し、何時間も働くのは、一度そうしたサイクルから離れると、想像以上に負担がかかるものです。
ストレスによって退職を選んだり、鬱病を発症させないためには、心身ともに健康に保たなければなりません。そのためには、復帰直後に無理をせず、効率的な働きかたを始めることが何より重要だということを、忘れないようにしましょう。

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