システム開発が主な仕事であるSE(システムエンジニア)ですが、設計書や、クライアントへのプレゼン資料など、文書を作る機会も少なくありません。
社内会議や、クライアントと打ち合わせを行ったときの議事録もそのひとつ。
SEに限らず、議事録の作成は若手社員の担当になっている場合が多く、理系出身で文章を書くのが苦手な方は特に苦労するのではないでしょうか?
そこで今回は、効率的に議事録を作成するためのメモの取り方や、会議に参加するにあたっての心構えなどをご紹介いたします。
繰り返しますが、SEの本来の仕事はシステム開発。議事録の作成に費やす時間は最小限にし、システム開発に全力をそそぎましょう。
議事録作成に関する2つの誤解
最初に、議事録の作成に慣れていない方にありがちな、2つの誤解についてお話しいたします。
この2点を押さえておくだけでも、議事録の作成が格段に楽になるはずです。
すべての発言を記録する必要はない
「会議での発言はすべて議事録に書かなければいけない」と、一字一句正確にメモを取ろうとしてはいないでしょうか?
確かに、国会会議や裁判の議事録では、すべての発言を記録する必要があるかもしれません。ましてや、話した内容を勝手に書き換えるなどもってのほか。
しかし、SEの仕事で作成する議事録は、社内の人やクライアントだけが見るものです。
「その会議で何が決まったのか」「次の会議までに、誰が何をする必要があるのか」など、要点さえ分かればいいのです。すべての発言をそのまま議事録に書く必要はありません。
議事録の作成を任された方は、「大事な発言を聞き漏らしたらどうしよう」と、会議中に常に気を張ってしまうかもしれません。しかし、本当に大事な話をしているときは、その人の声のトーンも変わるものです。
「これはただの雑談だな」「話が脱線しているな」と感じたら、思い切ってメモを取る手を止め、これまでのメモを整理する時間に当てましょう。
会議が終わった後に議事録を書く必要はない
夕方に開かれた会議の議事録を「明日の午前中にクライアントにメールして」と上司に指示され、泣く泣く残業する羽目になった方もいるかもしれません。
その指示の善し悪しはともかく、「会議の前から議事録を書き始めておく」ことで、議事録の作成に費やす時間を大幅に減らすことができます。
会議が行われる前に、参加者にはあらかじめ資料が配られる場合も多いと思います。
その資料から、「何を決めるための会議なのか」など、議事録に書く内容がある程度推測できるはず。
また、定期的に開催されている会議であれば、議事録のフォーマットも決まっているでしょう。
議事録の作成を任された方は、そのフォーマットに事前に分かっている内容(日時、場所、参加者、前回の会議の流れ、今回の会議で決める予定のこと)を書き込んでおき、会議に出席すればいいのです。
会議の中で新しく分かったことは、穴埋め問題のようにそのフォーマットに追記していく。
こうすれば、会議が終わったころには議事録がほぼ完成しているも同然です。
議事録作成にも、IT技術を利用しよう
SEの方は、日ごろから最新のIT技術や人気のスマホアプリについて、アンテナを張り巡らしているはずです。
議事録の作成に、その知識を活用しない手はありません。ここでは、特におすすめのツールを2つご紹介いたします。
ICレコーダーを使う
参加者や、クライアントの許可を得られれば、ICレコーダーで会議の音声を記録するのも有効な手段です。
議事録を書き始めてから、「この人、本当にこんなこと言っていたかな?」と不安になったときも、後から発言を確認することができます。
ただし、「録音しているのだから、自分でメモは取らなくてもいい」と考えるのは禁物。
会議が終わった後で最初から音声を聞き直していたら、会議に2回参加するのと同じ時間を使ってしまいます。また、途中で電池が切れて録音できていなかったということも起こり得ます。
あくまでもICレコーダーは保険として、メモと併用するようにしましょう。
文字起こしアプリを使う
スマートフォンのアプリの中には、音声を録音するだけでなく、その音声を自動的に文章に変換してくれる「文字起こしアプリ」もあります。
昔の文字起こしアプリは、音声認識の精度があまり良くないという問題がありました。しかし、最近のものは精度も向上していて、議事録のメモとしても充分使えるレベルに進化しています。
課題としては、こうした文字起こしアプリはスマートフォン専用のものが大半で、パソコンで使えるものはまだ数が少ないということ。
私用のスマートフォンで会議の音声を録音することはセキュリティ上の懸念もあるため、文字起こしアプリを使う場合は上司の方とよく相談してからにしましょう。
まとめ
- すべての発言を記録しようとせず、要点だけをメモする
- 会議に出席する前に、議事録の雛形を準備しておく
- メモとあわせて、ICレコーダーや文字起こしアプリなどを利用する
以上のことを意識して会議に臨めば、議事録の作成もぐっと楽になるはずです。
議事録は、単なる発言メモではありません。参加者にその会議が開かれた意味を再確認してもらい、会社やシステム開発の今後の方向性を決める重要な資料になります。
SEならではの、論理的な思考力とITスキルを駆使して、あなたなりの効率的な議事録の書き方を見つけてください。