「SEの仕事と言えば?」と尋ねられた場合、大半の人がパソコンに向かって黙々とコーディングをする姿を想像するのではないでしょうか。そういった姿も見られないわけではありませんが、そればかりかと言えば間違いです。
SEの仕事は多岐に渡り、コーディングばかりやっていれば良い、というものではありません。要件定義や設計、デバッグや環境構築などの作業もあり、どれも大変な仕事です。
中でも重要なのは、システムの根幹を決める「要件定義」や「設計」といった上流工程で、相手が何を求めているのか、どうシステムに落とし込むか、正確にそれを理解するために、クライアントとの密なコミュニケーションが絶対必須となります。
ですが、クライアントが良い人ばかりであれば良いのですが、残念ながらそんなことはありません。言っていることが二転三転する人、些細なミスも許さない人など、理不尽な人はいくらだっているのです。
今回はそんな厄介なクライアントについて、対策と共にその特徴をご紹介しましょう。

要件定義が二転三転、仕様追加も当たり前

【特徴】
要件定義はプロジェクト全体の土台を構築する作業、言わばシステムの根幹を決める重要な工程ですが、業務システムの開発に不慣れなクライアントの場合、この重要性をあまり理解出来ていない方が少なくありません。「最初に細かいところまで決めるのは無理」と言って深く考えることをせず、後から仕様追加してきたり、思い付きの仕様変更をガンガン言い出してくることもあります。

【対策】
最初に要件定義をしっかりと固める意味を説明し、仕様の一つ一つに対して言質を取りましょう。ある程度の仕様変更ならともかく、あまりに頻度が多いようなら「これ以上は予算の追加が必要だ」と、ハッキリ言わなくてはなりません。
無理な要求を受け入れて残業を重ね、自社を赤字にしてまでシステム開発をする意味はありませんよね。何のために働いているのか、その部分をはき違えず、毅然とした対応をするようにしましょう。

チェックが細かいドキュメントの鬼

【特徴】
SEの仕事は開発ばかりではなく、むしろその大半はクライアントとの折衝や資料作りです。そのためドキュメントは正確かつ分かりやすいものを作らなければなりませんが、クライアントの中には、そこに執拗なまでに拘る方もいらっしゃいます。
誤字脱字を許さないのはもちろんのこと、些細な文章表現やマトリクスのレイアウト、イメージ図の配色や文字サイズまで細かく注文してくることもあるため、他の案件の2倍も3倍も時間がかかってしまうケースも少なくありません。

【対策】
このタイプのクライアントは、一度失敗すると更に重箱の隅をつつくように細かくチェックする方がほとんどです。そのため最初に出す書類は厳重に確認し、上司や同僚にダブルチェックしてもらうと良いでしょう。
また、細かい指摘が多いものの、その分、修正内容は非常に具体的であるため、下手に反論せず、言われるがまま修正するのも処世術の一つかも知れません。

締め切りにルーズな適当タイプ

【特徴】
システム開発を行うためには、その指標とするためにクライアントからデータや資料を頂くことも多いのですが、そういった書類をなかなか提出してくれない方がいらっしゃいます。
これは「自分が発注側である」ということを悪い意味で認識しているクライアントに多く、「自分がやるべきこと」を後回しにされてしまうのです。こういったクライアントに限って開発側の納期には非常に細かく、そのため進捗が進まずイライラしてしまうことが良くあります。

【対策】
このタイプには、最初に具体的な工程スケジュールを見せておくのが良いでしょう。フェーズごとの締め切りを記載し、「いつまでに何をしなければならないか」「そのためには、いつまでにどの資料が必要か」などをクライアントにしっかり意識してもらいましょう。
フェーズごとの納期に間にあわない場合、どのようなリスクがあるかを確認させれば、遅れた場合の責任がどちらにあるか、理解してもらえるようになるはずです。

僅かなバグも許さない完璧主義者


【特徴】
業務システムの開発において、バグはあってはならないものですが、本当に不具合をゼロにするというのは難しいことです。業務が止まってしまうような致命的なバグでなければ、「すみません、すぐに直します!」くらいのやり取りで済ますことがほとんどで、多少のことなら問題視されることもそれほどありません。
ですが、中には誤字・脱字レベルの細かい不具合でも怒り狂い、「報告書を書いて提出」「再発防止策の策定」など、多くのことを要求する方もいらっしゃいます。

【対策】
本来なら不具合を一切発生させないよう、厳重にチェックするのが筋ではありますが、人間のやることに絶対はありません。あまりに細かいレベルの不具合でも見逃せないのであれば、いずれそのプロジェクトが破綻することは目に見えています。
全ての不具合がクリティカルではないこと、優先レベルに応じた対応が必要であることなど、バグに対する意識改革を少しずつお願いし、ユーザーと良好な関係を保てるようにしてみましょう。

テンプレートなパワハラユーザー

【特徴】
最後にご紹介するのは、クライアントであることを盾に取り、横暴かつ理不尽な発言、要求をしてくるタイプです。典型的なパワハラタイプであるため、急な仕様変更や納期の短縮を要求してくることも珍しくありません。もしそれに難色を示そうものならば、「だったら契約を破棄するだけだ」と当たり前のように言ってくるため、非常に不利な条件で仕事をすることになってしまいます。

【対策】
こうしたクライアントの場合、対策らしい対策は「縁を切る」以外にないのが実情です。超長時間残業の発生、社員のモチベーションの低下、うつ病の発症なども十分起こり得るため、そんな案件を受けていては、受注額以上の損害が出てもおかしくありません。
一度受けてしまったプロジェクトを放棄するのは難しいので、営業チームと連携し、二度とそのクライアントからは受注しないよう、全社的に取り組むべきでしょう。

相手に応じた適切な対応を

モノ作りを技術とするSEは「お客様あってこその仕事」であることは間違いありません。ですが、そもそも仕事とは報酬を対価に商品やサービスを提供することであり、ある意味対等な立場であるべきではないでしょうか。
「お客様は神様である」、そんな意識を持っている方も多いのは事実ですが、それを鵜呑みにしてしまうと、無理な残業で身体を壊してしまったり、モチベーションの低下によって退職者が続出したりと、得られた報酬以上に何かを失ってしまうことも考えられます。
厄介なクライアントに出会ってしまった場合は、唯々諾々と全てを肯定するのではなく、適切な対策を取って仕事に臨むようにしましょう

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