仕事に就くにあたり、正社員、契約社員、パート、アルバイトなど、雇用形態には様々な形があります。勤務時間や福利厚生などが異なるため、就職・転職の際は必ず意識しなければならない項目ですが、その中で、「特定派遣」と呼ばれる雇用形態があるのをご存知でしょうか。
「安定した収入を求めているので、派遣社員はちょっと……」なんて思った方。もしいらっしゃったとしたら、それは特定派遣という雇用形態そのものを勘違いしていませんか?
今回は、そんな特定派遣について解説しましょう。
どんな勤務条件の働き方なのか
特定派遣を説明する時によく使われる表現に、「正社員と派遣社員の相の子」というものがありますが、これは実に的を射ています。
特定派遣として就職する場合、まず「A」という企業に正社員として就職します。しかし実際に働くのはその会社ではなく、派遣社員と同じように、指定された企業へ出向し、その現場の上司の指示に従って働くのです。
特筆すべきは、立場はあくまで「正社員」だということです。
出向先が見つからない場合でも、正社員なので1カ月分の給料がそのまま貰えます。派遣社員の最大のネックである「安定しない」という点は、全く気にしなくていいわけですね。
特定派遣のメリット・デメリットとは
特定派遣についてご紹介する前に、まずは正社員と派遣社員のメリット・デメリットについて、簡単に纏めてみます。
特定派遣
メリットとデメリットを簡単にまとめてみました。
メリット- 正社員の立場なので、収入・雇用形態が安定し、福利厚生も厚い。
- 実際の勤務地は派遣先の企業なので、サービス残業などはほとんど存在しない。
- 大企業など様々な職場を経験できる。
デメリット
- 本社からの目が届きにくく、自社勤務の正社員ほど努力が報われないことが多い。
- 派遣社員よりも責任が重く、気軽に仕事を辞めにくい。
- 「特定派遣」という言葉自体が浸透しておらず、不安定な雇用形態と見られがち。
こうやってみてみると、まさに正社員と派遣社員の良いとこ取りであることがわかります。
もちろん、双方のデメリットも併せ持ってはいますが、第三の選択肢として十分に地位を確立していると言えるでしょう。
他に気を付けるべき点は?
魅力的に思える特定派遣ですが、問題点がないわけではありません。そのいくつかをご紹介していきます。
- 技術力の向上が難しい
多くの職場を経験できる反面、派遣として求められるのは即戦力です。つまり、その時その時に持つ技術以上のことはやらせて貰えず、新しいスキルは自力で身につけなければなりません。
- 加齢と共に受け入れられ難くなる
ある程度の年齢になると、プライドが高そう、体力が無さそう、などの理由で派遣先で受け入れられ難くなる傾向があります。
- 良くも悪くも派遣先次第
基本的には人手不足の職場に回されるので、稼働時間は多くなりがちです。派遣社員に対して労働基準法をどれだけ守る気があるかは、派遣先次第になってしまいます。
将来設計が大事!
特定派遣の問題点について挙げましたが、良し悪しは結局勤める企業によって異なります。かく言う筆者も特定派遣として勤めていますが、前の職場と比較し、有給は取れるわ残業は常識的な時間で収まるわで、欠片の不満もない状況です。
思うに、前の職場でしっかりスキルを身に着けておいたのが良かったのでしょう。
転職後の選択肢の一つとして考えてみるのはいかがでしょうか?