「SEの仕事」という言葉を聞いて思い浮かべるのは、設計や要件定義、コーディングやテストなど、まさに「ザ・プログラミング」とでも言える業務でしょう。
ですが実際には、そんな花形のような仕事ばかりではありません。時には資料整理やテストデータの作成など、大量の単純作業をやらなくてはならないこともあります。
効率的に仕事をこなすためには優れたツールが必要ですが、なかなか痒い所までは手が届かない、あと一歩機能が足りない……そんな経験、ありますよね。
だったら話は簡単です。SEの強みはプログラムを書けること。Excelを使って、自分でツールを作ってしまいましょう。
なぜExcel? 非常に広いシェアがその理由
筆者がExcelでのツール作成を勧めるのは、もちろん大きな理由があってのことです。
単純なプログラムならコマンドプロンプトでできないこともありませんが、複雑なもの、特にグリッドや表を使うプログラムを作るには、それなりの環境構築が必要ですよね。
中には無償で使えるものもありますが、新しくツールを入れるためには、上長などに申請が必要だったり、非常に手間になってしまいます。
その点、ExcelのVBAを使ったツール作成ならどうでしょうか。
大抵の企業で使われている、幅広いシェアのおかげで、新しくインストールの許可を取る必要もありません。表やグリッドを使った処理もExcelなら簡単ですし、独自のExcel関数も使えます。
どんな現場でも必ずツールを作ることができる、その汎用性が最大の魅力なんです。
どんなツールを作る? 筆者の作った「単純作業特化」のツール例
さて、いざツールを作ろうと考えた時、それは難しいプログラムであってはいけません。目的は「仕事で役立つツール作り」なのですから、本来の仕事に支障が出るようなプログラムは言語道断だからです。
簡単で、かつ応用が効き、利用頻度の高いツールとはどんなものがあるでしょうか。
ここでは筆者が仕事に役立てた「単純作業特化」のツールをいくつかご紹介しましょう。
・テキスト結合ツール
機能:指定したファイルパスのテキストドキュメントを全て結合し、1つのテキストを出力する。
使用場面:大量のテストデータを一つのファイルにまとめたい時など。
概要: VBAで作るメリットとして、ちょっとした条件を簡単に加えることができる、という点があります。例えば「2行目以降のみ結合する」「特定の文字を含むテキストだけを結合する」など、細かい調整ができるので便利ですよ。
・コピー&リネームツール
機能:指定したファイルを、別の指定パスにコピーし、任意の名称にリネームする。
使用場面:ログファイルなどを任意の名称にリネームし、種類ごとに別フォルダにコピーしたい時など。
概要:大量のファイルを一定のルールに則って管理したい時、手作業で行うのはかなりの労力が必要です。エクセルを使えば「どのファイルを」「どんな名前で」「どの場所に配置するか」を分かりやすく管理できるので、意外と利用頻度は高いです。
・テストデータ用SQL生成ツール
機能:テーブル名とカラム名、テストデータをExcelに記載し、テスト用のInsert文・Update文などを自動生成する。
使用場面:大量のテストデータを用意したい時など
概要:数百件程度ならともかく、数千件、数万件というテストデータを一定のルールで用意しなければならない時、SQLはもちろんExcel式などで作るのが当然ですが、同じような作業は繰り返し発生します。なら、いっそツールとして作っておきましょう。2回目以降の労力が非常に下がるので、仕事の効率がかなりアップします。
細分化されたSEの仕事、自分ためのツールは自分で作るのが一番
今回ご紹介したツールは、本当に単純なものばかりです。しかし筆者はこれらのツールを作っておくことで、飛躍的に作業効率が上がりました。
もちろん、使う人によって、どんなツールが必要なのかは千差万別です。自分に合ったツールは自分にしか作れませんので、一度VBAを勉強してみてはいかがでしょうか?