誰よりも頼もしい味方であり、しかし時に誰よりも腹立たしい最大の敵……そう、その存在とは、営業さんです。
彼らがいるからこそ仕事がある、それは当然の前提。しかし開発チームにいた身としては、声を大にして彼らに言いたいことがあります。
無茶ぶりが過ぎます! ……と。
SEは往々にして長時間の残業となる業界ですが、その理由は技術不足によるものだけではありません。営業さんが持ってくる、とんでもない要求だって原因の筆頭です。
転職をした今だからこそ、実体験に基づくその無茶ぶりを、いくつか公開していきたいと思います。
全然簡単じゃありません。「~~するだけ」という甘い見積り
真っ先に思い出す実例がこれですね。開発のコトを良く知らない営業さんは、「~~だけ」「~~だけ」という言葉を頻繁に使います。
筆者の場合、「このデータのうち、一項目を二つに細分化するだけ」と安易に仕様変更の仕事を持ってこられてしまい、死ぬほど大変な目に逢いました。
最初のインプットを細分化されたら、後の処理全てを再テストしなければなりません。一言で済む仕様変更が、パッと終わるわけではないんです。
営業さん、そんな簡単にはできません!
そう言われても。「~~入れておいて」という無理難題
営業さんが頼んでくるのは、開発関係のことだけではありません。
電車の時間を調べるような細かいものから、デモで見せるための資料を作るような大きいものまで、雑用系の仕事もかなりの頻度で依頼してきます。
筆者の実体験で厄介だったのは、営業さんのノートパソコンに、大きなツールをインストールする作業でした。具体例を言えばオラクルなのですが、そんな10年前から使っている安物のノートパソコンでは、容量もメモリも足りません。
営業さん、もっとマシなパソコン用意してください!
ちょっと待ってくださいよ。「新しい案件」という恐ろしい達成報告
極めつけはなんと言ってもこれ、SEの仕事がデスマーチと化す最大の理由、ちょっと考えればわかるような無茶な納期です。
筆者の場合、5人のチーム(うち2人は入社直後の新人)で2000万円規模の仕事を同時に3つ、たった1年の納期で詰め込まれました。
外注さんは大量に投入しましたが、それでも終わるわけがありません。全員月120時間の残業を1年半に渡って続け、結果、大幅な遅延と大量のバグにより、大クレームを頂くことになりました。
営業さん、物理的な無理ってあるんですよ!
対策の難しさ、それが最大の難関かも
営業さんの要求の激しさ、これは筆者の体験による一例に過ぎません。世の中にはもっともっと酷い無茶ぶりもあるでしょう。
こうした問題で一番厄介なのは、対策が難しい点にあると思います。
開発チームがいかに無茶ぶりを上司に訴えても、「仕事をもっと加減して取ってこい」なんて言えるわけがありません。
会社的な利益の追求こそ、営業という仕事なのですから。
しかし、筆者の所属していた部は、その営業さんの無茶なやり方に耐え切れず、筆者の転職後も多数の退職者が発生し、その後無残にも廃部が決まったそうです。
これを見ている営業さん、もし心当たりがあるようでしたら、開発チームとの歩み寄りを見せていただけはしませんでしょうか?
これが、筆者が一番営業さんに訴えたい言葉です。